国内32例目の狂牛病確認 肉骨粉禁止前2001年生まれが2頭に

農業情報研究所(WAPIC)

07.2.6

 厚生労働省が5日、 国内32例目の狂牛病(BSE)発生が確認されたと発表した。この牛は北海道帯広市で飼育されていた2001年8月生まれ、65ヵ月齢の乳牛(ホルスタイン・雌)という。

 牛海綿状脳症(BSE)確定診断の結果について(07.2.5)

 狂牛病の症候はなく、今月2日、北海道畜産公社十勝工場に持ち込まれ、道帯広食肉衛生検査所の一次検査で疑陽性と判明。北大と帯広畜産大の二次検査で陽性と確認された。

 肉骨粉禁止前の2001年生まれの牛では、同年6月生まれに次ぐ2頭目となる。2000年生まれの10頭という数字からすると、01年生まれでの本格的発生はまだこれからということになりそうだ。昨年来確認された11頭を相当上回る数の発症前の感染牛が食肉処理されたり、なお生き残っていることは間違いない。そして、処理される牛の半数以上が、食肉部分を脳や脊髄で汚染する恐れのあるピッシングを受けている(半数以上のと畜牛になおピッシングー06年10月末時点厚労省調査,07.1.12)。

 それでも、マスコミは落ち着いたものだ。ピッシングに関する厚生労働省の調査結果に触れた記事は皆無だったように見えるし、今回の発生についても、まったく報道しない新聞もあれば、報道しても上記の事実に加え、肉や内臓は焼却処分されるため市場には流通しないと、厚生労働省の言葉を繰り返すだけだ。狂牛病はすっかり過去のことになってしまったようである。

 例により、これまでの狂牛病確認例の一覧を掲げておく。

 なお、昨年1年間に狂牛病が確認された国と件数は、多い順に、イギリス:85、スペイン:62、アイルランド:42、ポルトガル:28、ドイツ:16、ポーランド・日本:各10、フランス:8、イタリア:6、カナダ・スイス: 各5、チェコ:3、オーストリア・ベルギー・オランダ:各2、アゾレス諸島・スロベニア・スウェーデン・米国:各1である。また、イギリスの肉骨粉全廃後に生まれた牛の感染確認数は、06年11月末時点で160頭(Which?:BSE monthly report - December 06,18 January 2007)。

日本における狂牛病確認例一覧

確認年月日

確認例の出生・飼育地

出生年月

月齢

畜種

備考

1歳になるまでに与えられた動物性原料を含む飼料

1

01.09.21

北海道常呂郡・千葉

96.03

66 ホルスタイン・雌

A B

2

01.11.21

北海道宗谷郡猿払村

96.04

67 ホルスタイン・雌 A B P
3

01.12.02

群馬

96.08

68 ホルスタイン・雌 P EX
4

02.05.12

北海道白糠郡音別町

96.03

71 ホルスタイン・雌
5

02.08.23

神奈川

95.12 80 ホルスタイン・雌
6

03.01.20

北海道川上郡・和歌山

96.02 81 ホルスタイン・雌
7

03.01.23

北海道網走市

96.03 79 ホルスタイン・雌
8

03.10.06

栃木・福島

01.11 23 去勢雄ホルスタイン 非定型
9

03.11.04

兵庫・広島

02.02 21 去勢雄ホルスタイン
10

04.02.22

神奈川

96.03 95 ホルスタイン・雌
11

04.03.09

北海道川上郡標茶町

96.04 95 ホルスタイン・雌 死亡牛
12

04.06.13

熊本

99.03 62 ホルスタイン・雌   P CT
13

04.09.23

奈良

96.02 103 ホルスタイン・雌 B
14

04.10.14

北海道河東郡鹿追町

00.10 48 ホルスタイン・雌 死亡牛
15 05.02.26 北海道中川郡本別町 96.08 102 ホルスタイン・雌 死亡牛
16 05.03.27 北海道天塩郡天塩町 96.03 108 ホルスタイン・雌 A  B
17 05.04.08 北海道河東郡音更町 00.09 54 ホルスタイン・雌 死亡牛
18 05.05.12 北海道砂川市 99.08 68 ホルスタイン・雌 CS SS
19 05.06.02 北海道野付郡別海町 96.05 109 ホルスタイン・雌
20 05.06.06 北海道河東郡鹿追町 00.08 57 ホルスタイン・雌
21 05.12.10 北海道千歳市 00.02 59 ホルスタイン・雌 死亡牛 NC
22 06.01.23 北海道野付郡別海町 00.09 64 ホルスタイン・雌 死亡牛 A  B MC M
23 06.03.15 北海道中川郡中川町 00.07 68 ホルスタイン・雌
24 06.03.17 長崎県壱岐市 92.02 15歳 黒毛和種肉用繁殖   MA
25 06.04.19 北海道枝幸郡枝幸町・岡山 00.04 71 ホルスタイン・雌 CT
26 06.05.13 北海道瀬棚郡今金町 00.08 68 ホルスタイン・雌 死亡牛
27 06.05.19 北海道中川郡豊頃町 00.08 68 ホルスタイン・雌 死亡牛 A  B
28 06.08.11 北海道天塩郡幌延町・苫前郡羽幌町 99.11 80 ホルスタイン・雌 死亡牛 A
29 06.09.28 北海道天塩郡幌延町・中川郡中川町 00.06 75 ホルスタイン・雌 死亡牛 A
30 06.11.13 北海道千歳市 01.06 64 ホルスタイン・雌 死亡牛 A
31 06.12.08 北海道河東郡鹿追町 99.11 84 ホルスタイン・雌 A
32 07.02.05 北海道帯広市(飼養地) 01.08 65 ホルスタイン・雌

 注:動物性原料(魚粉のみのものは除く)を含む飼料

 A=渇ネ学飼料研究所高崎工場製造代用乳・ミルフードAスーパー(共通する動物性原料は脱脂粉乳、濃縮ホエー蛋白、乾燥ホエー、血漿蛋白、動物性油脂、卵白粉末)
 B=ホクレンくみあい飼料葛路西港工場製造ほ乳期子牛育成用配合飼料・ミルフードBグリーン(共通する動物性原料は魚粉と動物性油脂)

 P=渇ネ学飼料研究所高崎工場製造代用乳・ピュアミルク
 CT=全酪連関東工場製造代用乳・カーフトップ
 CS=日清製粉樺m多工場製造代用乳・ザ・カーフサックル
 SS=日清製粉樺m多工場製造代用乳・ザ・サワーサックル
 NC=全酪連関東工場製造代用乳・サツラクニューカーフミルク
  PからNCまでに共通する動物性原料は脱脂粉乳、血漿蛋白、乾燥ホエー、動物性油脂

 MA:渇ネ学飼料研究所高崎工場製造代用乳・モーレット特Aソフト(動物性原料は脱脂粉乳と動物性油脂)
 
 EX=関東くみあい化成工業叶ヤ城工場製造育成用配合飼料・EXモーレット
 MC=苫小牧鞄マ小牧工場製造育成用配合飼料・マンナクラブ
  EX、MCに共通する動物性原料は動物性油脂

 M=肉骨粉