英国 歯髄腔治療器具の再利用を禁止 vCJD二次感染を防ぐための予防的措置

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.20

 英国保健省が19日、狂牛病の人間版とされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の拡散を防ぐための”予防的”措置として、歯髄腔治療に使用する器具(リーマー、ファイル)の再利用をやめるように命じる歯科医向けの新たなガイドラインが出たと発表した。

 Precautionary advice given to dentists on re-use of instruments,07.4.19

 これは、海綿状脳症諮問委員会(SEAC)からの保健省に対する予防的勧告に従うもので、健康保護庁が実施し・歯内治療と関連したvCJDのあり得るリスクを示唆する進行中の研究からの初期の結果という。

 このガイドラインを出したチーフ・デンタル・オフィサーのB・コッククロフト博士は、「歯科治療から生じるvCJD伝達の確認されたケース、あるいはそれが疑われるケースは報告されていない。この新たなガイドラインは純粋に追加的予防措置だ。人々は、通常通りに歯科に通うことを続けるべきだ」と言う。

 牛肉を食べたことからvCJDに感染した英国人の推定数については1400人から2万人といった大きな幅があり、昨年のランセット誌ではこれよりもはるかに少ないだろうという推定も出されている。しかし、輸血を通して感染したと見られる3人の患者が確認されたことから、今後、輸血や手術などの医療行為を通じての二次感染が広がり、vCJD患者発生の第二波が襲うのではないかという恐れも広がっている。

 今回の措置はこのような二次感染を最小限に抑えるための予防原則に基づく措置である。そうとは未だわからないvCJD患者を手術した器具の汚染の完全除去は、現在の滅菌技術では困難と見られている。

 狂牛病問題は未だ決して終わっていない。

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