英国 血漿製剤で治療の血友病患者がvCJDに感染 理論的リスクが現実的リスクに

農業情報研究所(WAPIC)

09.2.17

 昨日伝えたタイムズ紙の予告通り(英国 血漿を通じての初のvCJD感染者の報 警告を受けていた輸血血友病患者)、英国健康保護庁(HPA)が17日、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染した供血者からの凝結剤で治療を受けた一人の血友病患者が、BSEの人間版とされるこの病気に感染した証拠が発見されたと発表した。

 70歳を超えたこの患者は、vCJDと無関係の病気で死亡、死に先立ち、vCJDまたはその他の神経病のいかなる症候も示さなかった。脾臓の死後検査で、vCJD感染の証拠が見つかった。患者は、1996年―BSEと血液を通してのその伝達の可能性に対する怖れから血液の供給と検査に関する厳格なルールが導入された1999年より前―の供血から6ヵ月後にvCJDを発症した供血者の血漿に由来する凝結剤で治療を受けたことがある。

 感染ルートはなお調査中だが、英国血友病センター医師会と協力、出血異常のすべての患者にこの発見を知らせるという。2004年、1980年と2001年の間に英国由来の血漿製品で治療を受けた血友病を含む出血異常のすべての患者は、vCJDの”リスクを負っている”(at risk)とされた。

 HPA感染センター長のマイク・キャッチポゥル教授は、「この新たな発見は、今まで理論的リスクであったものが、リスクはなお非常に低いものの、血漿製品を受け取った一定の個人には現実的リスクになった可能性を示す。この発見が、調査とその解釈の完了を待っている血友病患者には重大問題だと認める」と言っている。

 vCJD abnormal prion protein found in a patient with haemophilia at post mortem,Health Protection Agency,17 February 2009
 http://www.hpa.org.uk/webw/HPAweb&HPAwebStandard/HPAweb_C/1234859690542?p=1231252394302

  教授は、これら患者への情報提供と各自の血友病センター医師からの専門的アドバイスを確保するというが、患者にどんな救いがあるのだろうか。

 同じ17日、これとは別に、英国保健省は血液の安全性と供給のための供血者のスクリーニング検査と、それに続くvCJDのさらなる伝達の予防措置のあり得る結果(影響)を考察する新たな報告書を発表した。

 Mapping out the consequences of screening blood donations for PrPSc,DH(UK),2.17
 http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_094804