米国 BSE飼料規制強化実施を60日間延期 強化案自体を見直せと業界団体

農業情報研究所(WAPIC)

09.4.8

 米国食品医薬局(FDA)が4月6日、昨年4月にパブリック・コメントに出し、1年後の4月27日から実施するとしていたBSE飼料規制強化(米国 BSE飼料規制強化へ それでもなお抜け穴だらけ,08.4.24)の実施を60日間延期、6月29日から実施すると発表した。新ルール遵守能力に懸念を表明する関係者のコメントに配慮した。加えて、一部関係者は、ルールが実施されれば動物飼料用にレンダリングされなくなる部位の適切な代替処分方法を見つけるのが難しいと感じているということだ。

 ただし、60日延期は最終決定ではなく、この延期自体について(のみ)、7日間だけパブリック・コメントを受け付けるという。

 FDA Announces Proposed Delay of BSE Final Rule Implementation,FDA,4.6
 http://www.fda.gov/cvm/BSEDelayRule.htm

 全米肉牛生産者協会(NCBA)は7日、この決定を激しく批判する政策ニュースを発表した。そもそも、強化案は科学的根拠に基づくものではなく、適切な経済的費用便益分析もなく出されたものだから、それ自体を見直す必要がある。それなのに、延期の是非だけについてのコメントを求めるのは、関係者のこれまでの強い要望を無視するものだというわけだ。

 ニュースは、米国のBSEリスクは、米国農務省(USDA)の多年にわたるサーベイランスが示し、また国際獣疫事務局(OIE)による”管理されたリスク”国指定で確認されるように、極めて低レベルであって、飼料規制は1997年以来の規制で十分だと主張する。

 さらに、2007年12月以来、多くのレンダリング業者が、新たな規制がもたらす厳しい現実を理由に、死亡牛を受け入れなくなった。受け入れ先が見つかる場合にも、運送屋やレンダリング業者が要求する代金が大きく上がった。新ルール実施でレンダリング業務は終焉を向かえ、生産者は合法的代替策もないままに放置される。大量の牛を裏庭に埋めることなど、できるはずもない。新ルールの経済・環境影響は巨大、FDAは、ルール実施の前にこれらの懸念を考慮する責任があると言う。

 FDA Ignoring Environmental and Economic Impacts of Feed Ban,NCBA,4.7
 http://www.beefusa.org/NEWSFDAIgnoringEnvironmentalandEconomicImpactsofFeedBan38212.aspx

 こんな国を”管理されたリスク”国と認めたOIEとは、一体何なのだろうか。