欧州委 狂牛病措置第二次ロードマップを採択 SRM基準や飼料規制の緩和も

農業情報研究所(WAPIC)

10.7.17

  欧州委員会が7月16、狂牛病(BSE)や羊・山羊のスクレイピーのような伝達性海綿状脳症(TSEs)に関連したEUの措置の将来あり得る変更の概要を示す” 第2次TSEロードマップ−TSEに関する2010-2015年戦略ペーパー”を採択した。

 2005年に採択された第一次TSEロードマップ(欧州委、EUの狂牛病措置改変に向けてのロードマップを採択,農業情報研究所、05.7.18)はTSEに関するEUの措置の短・中・長期的将来にあり得る変更の概要を示していたが、これによって取り組まれた短・中期的行動の大部分は実現され、既に2005年に見られたBSE根絶に向かうトレンドは継続している。TSEとの闘いにおけるこの成功は、将来のさらなる変更も可能にするという。

 この第二次ロードマップで将来あり得るとされたBSEにかかわる分野や次のとおりである。

 @特定危険部位(SRM):国際獣疫事務局(OIE)による国際基準にそろえる。2000年10月以来の現在のEUのSRMは、12ヵ月齢以上の牛の頭蓋骨・脳・眼・脊髄、30ヵ月齢以上の牛の脊柱、すべての月齢の牛の扁桃・腸・腸間膜とされている。OIEの現行基準では、「管理されたリスクの国」については30ヵ月齢以上の牛の頭蓋骨・脳・眼・脊髄・脊柱、すべての月例の牛の扁桃と回腸遠位部、「不明のリスクの国」については12ヵ月齢以上の牛の頭蓋骨・脳・眼・脊髄・脊柱とすべての月例の牛の扁桃と回腸遠位部とされている。

 A飼料規制(フィードバン):食料生産のために飼育されるすべての動物の飼料に加工動物たんぱく質(PAP)を使用することが2001年に禁止され、1995年には反芻動物廃棄物の処理に関する厳格なルールも制定された。将来は一定のPAP許容レベルの導入、豚・鶏・魚(非反芻動物)のための一定のPAPの使用を禁止する規程の除去(ただし、豚→豚のような同一種内リサイクルの禁止は維持)が可能。

 Bサーベイランス:2001年以来、24ヵ月齢(一定の国では48ヵ月齢)以上のリスク牛すべての検査と30ヵ月齢(一定の国では48ヵ月齢)以上の健康な牛すべての検査が義務化されてきたが、検査対象牛の最低月齢の漸進的引き上げ、または検査方法の多様化でモニタリングの対象を絞る。

 C陽性牛発見に続く淘汰措置:BSEが確認された場合、患畜の「コーホート」に属するすべての牛(患畜の出生日の前後12ヵ月以内に患畜と同じ牛郡で生まれ、同一の飼料を食べた可能性がある牛)が完全に処分されねばならないというのが現行ルールだが、EUのコーホート牛内に発見された陽性牛が非常に少ない(2008年に2、2009年は0)ことから、検査で陰性となったコーホート牛を人間消費用にと畜することを許すことが可能。

 D生前検査:生前検査が利用可能になったときには、生きた牛の検査も一つの選択肢となる。

 http://ec.europa.eu/food/food/biosafety/tse_bse/docs/roadmap_en.pdf

 なお、これに関する欧州委のQ & Aには、1988年以前から2009年までの世界各国におけるBSE確認件数が一つの表にまとめられている。

 http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/10/335&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en