農業情報研究所狂牛病 >ニュース:2013114

米国 BSE関連牛肉等輸入規制を国際基準に合わせる 自由貿易交渉を睨んだEU懐柔策?

 米国農務省(USDA)動植物検疫局(APHIS)が11月1日、BSE(狂牛病)にかかわる米国の輸入規制を国際基準に合うように改めると発表した。新たな規制は、国際的に認められた科学文献と国際獣疫事務局(OIE)が定める基準に従うもので、今まで禁止してきたBSE発生国からの家畜とその肉・肉製品の輸入を許すという。

 PHIS Finalizes Bovine Import Regulations in Line with International Animal Health Standards,USDA-APHIS,13.11.1

 今ごろどうしてこんなことを言い出したのか。理由は見え透いている。EUとの間で進行中で難航が予想される環大西洋貿易投資協定交渉を促進するためである。これによって現在禁止されているEU(諸国)からの牛・羊・山羊とその肉・肉製品の対米輸出が解禁されれば、遺伝子組み換え体(GMO)やホルモン牛肉 等に関する輸入ルール改変に強硬な反対するフランスのEU内での影響力を削ぐことができるかもしれない、そんな期待の表れだろう(⇒EU−米国貿易協定 フランスはGM作物等々の輸入ルールを守る 小規模多様な農業の尊重を)。上掲報道発表も、この規制変更が「米国製品に対する新たな市場の開放と他国に残る輸入制限の撤廃に役立つことを期待する」と述べいる。

 EUも早速、歓迎の意を表明した。これは、1997年以来の不当な輸入禁止の廃止に向けた一歩だと言う。

 Commission welcomes the US Rule announcement to bring the US legislation in line with international standards for BSE,European Commission,13.11.2

 これによってGMO等輸入に対するフランスの強硬な態度が和らぐことはないだろう。ただ、EU内に波風が立つことは予想できる。

 既に米国の言いなりの日本には関係ない話だが(米・欧が一層のBSE輸入規制緩和を求めてくれば、日本は得意とする独自の科学的リスク評価に基づき受け入れるまで。 日本に特に恩を売る必要はないということだ)。