農業情報研究所


フランス:ラウンドアップ除草剤、ウニの胚の細胞分裂に影響、癌との関連に疑い

農業情報研究所(WAPIC)

02.4.25

 ブルターニュ(フィニステール県)・ロスコフの国立科学研究センター(CNRS)は、ブルターニュ州議会の委託により、河川水や海水の中にまで存在する(ブルターニュは工業的農畜産による水質汚染がフランスで最も深刻な地域である)農薬とその活性物質により引き起こされる生物の機能障害に関する研究を行なってきたが、モンサント社のラウンドアップ・マークの除草剤(グリフォサート)がウニの胚の細胞分裂に深刻な障害を引き起こすことが明かになった。

 この研究で取り上げられたのは、アルジカブ(殺虫剤)・アトラジン・ニコスルフロン・グリフォサート(以上、除草剤)の四つの農薬の活性成分である。研究者を驚かせたのは、世界中で広く販売されているラウンドアップ・マークの除草剤がウニの胚の細胞分裂を遅らせたことである。ラウンドアップが存在しない場合、細胞分裂は120分から210分で行なわれるが、これが0.8%(1g中、グリフォサートが1.3g)含まれると、分裂は165分から330分後になって起きた。この量では、100%の細胞の分裂が遅れた。

 この量は環境中に存在する量よりはるかに多い。しかし、一定の農業用途には1g当たり7gのグリフォサートの使用が認められているから、これに比べれば少ない。しかも、実験でグリフォサートに曝した時間は1時間を越えなかったが、環境中の生物は生涯にわたり曝されている。

 研究者は、すべての癌が細胞分裂のコントロールの欠如から生じるから、ラウンドアップと癌の関連性に疑いをかけているが、当面、証拠がないとして、この関連性の確認は拒んでいる。モンサント社は、この研究が胚の発達と癌のリスクに対するグリフォサートの影響の有効な指標にはならないとしており、CNRSも、影響はグリフォサートだけによるものではなく、グリフォサートを活性化させるために他の製品(サーファクタント)をこれに結合させたラウンドアップによる影響が観察されたと認めている。

 欧州委員会は2001年末にグリフォサートを承認した。しかし、承認に際して要求された調査には、グリフォサートとサーファクタントを調合した製品の毒性の調査はほとんど含まれず、大部分の調査は単独の活性成分に関係したものあった。

 Le Roundup toujours sur la sellette,Ouest-France,5.14

 HOME 農薬・化学物質