フランス:農業者・農薬企業、フィプロニル・イミダクロプリド殺虫剤禁止の動きに反駁

農業情報研究所(WAPIC)

04.2.23

 、フランス農相は2月9日、フィプロニルの近い将来の使用制限か停止、あるいは認可取り消しを睨み、製造者と利用者に弁明を命じる最後通告を行った。フランス司法官は17日、フィプロニルを活性成分とする殺虫剤・レジャントの販売停止を命じた(⇒フランス司法官、フィプロニル製品(殺虫剤)の販売停止を命じる,04.2.20)。危機感を強めた農業者と農薬企業が反駁している。蜜蜂を大量に殺していると告発されたBASF社のレジャントとバイエル社のゴーショの使用が禁止されると、廃用となった一層毒性の強い殺虫剤の散布に後戻りすることになると言う。AFPがトウモロコシ生産者協会理事長、フランスバイエル社広告販売部長、植物防疫産業連盟の声を伝えている(Regent TS/Gaucho: agriculteurs et industriels redoutent un retour en arrière,Agrisalon,2.20)。

 トウモロコシ生産者協会理事長は20日、これら二つの製品は種子被覆のために使われ、農業者が直接調合することがないから、危険性は小さい、禁止されれば空中散布が必要になり、環境リスクが高まり、薬効も減ると語った。フランスで種子被覆の技術により利用されている殺虫剤はこの二つしかない。フランスバイエル社広告販売部長は、ゴーショは自分の工場で種子を被覆する種屋で販売しており、種子を包む殺虫剤の層に触れることがないように、その上をさらに包んでいると言う。

 ゴーショは、ヒマワリの開花期に中西部で見られた蜜蜂の死亡率増加のために、この4年来、ヒマワリへの使用は停止されている。しかし、トウモロコシ、テンサイ等への使用はなお認められている。レジャントの販売は停止されたばかりだが、被覆された種子の在庫は依然として利用できる。現在、フランスのトウモロコシの半分がこれら二つの薬剤で処理されており(レジャントで50万ha、ゴーショで100万ha)、残り半分が薬剤散布で処理されるか、まったく処理されていない。

 トウモロコシ生産者協会理事長は、科学的意見には抗議しないが、いかなる事故も確認していない、危険な製品を扱っていることは事実だが、危険性は種子被覆により理想的に管理されていると言う。フランスバイエル社広告販売部長も、ゴーショで処理された種子の利用と蜜蜂の高死亡率が関係しているといういかなる科学的証拠もないと言い、植物防疫産業連盟は、これらの製品は認可の対象をなしており、使用者と環境にとってのリスクは許容範囲、適正に使用されるかぎりはいかなるリスクもないと言う。ゴーショを120ヵ国で販売するバイエル社の責任者は、これらの販売国の養蜂業者は懸念される現象を確認しておらず、他方、ゴーショもレジャントも使わないフランス・ヴォージュ地方では蜜蜂死亡率が極度に高いと指摘する。

 粉末・液体殺虫剤の散布は30年前に禁止され、微粒子状にする改善がなされたが、これもEU規則でほとんど禁止された。今フランスで利用できるのは、二つの微粒子状薬剤とゴーショ、レジャントの4種類だけだ。フランスバイエル社広告販売部長は、これら二つの種子被覆技術は、薬剤使用量がへクタール当たり100グラムと微小なのだから、環境保全型農業、持続可能な農業の味方なのだと、論争の沈静を望んでいる。

 だが、農相は22日、火曜日(24日)午後 5時30分、記者会見で最終決定を告げると発表した。

 なお、フィプロニル、コーショの主成分であるイミダクロプリドを含む製品は、農業用のほか、動物用殺虫剤、さらには家庭用殺虫剤などとして、多様な商品名の下、わが国でも広く使用されている。