農業情報研究所環境農薬・化学物質・有害物質2004年3月25日

    殺虫剤クロルピリフォス・ダイアジノン禁止で新生児体重が増加米国の研究

 ゴキブリその他の昆虫の家庭用殺虫剤として広く使われ、日本ではシロアリ駆除剤として多く使われ、室内汚染を招いてきたと言われるクロルピリフォスとダイアジノンの禁止が体重不足の新生児の数を大きく減らしているという米国の研究が発表された。コロンビア大学の研究者・Robin M. Whyatt等がEnvironmental Health Perspectives誌に発表したものである。

 米国環境保護庁(EPA)は、室内濃度が許容値を超えることが普通になっていることを発見、20006月に使用を禁止した。同庁は、動物実験に基づき、これらは新生児の体重減少や子供の発達の問題を引き越す恐れがあると結論している。ダイアジノンのメーカー・シンジェンタとクロルピリフォスのメーカー・ダウアグロサイエンスは最初は禁止に反対したが、後に家庭用・害虫駆除用に使用される製品の販売を止めた。

 新たな研究は、大気汚染、タバコ、アレルゲンや殺虫剤に暴露される妊婦の健康状態を調査する98年に始まった多年度にわたる研究計画の一環をなすものである。禁止の前と後の妊婦と新生児の血液中の殺虫剤のレベルを検査した結果、子宮で大量の殺虫剤に曝された新生児は体重不足になることが非常に多いことがわかった。314人の新生児について調査したが、最大量の禁止殺虫剤に曝された妊婦の子供は、暴露が低度の妊婦の子供に比べ、平均で6オンス軽かった。研究者は、この差は喫煙の有無による差よりも大きいと言う。

 作物保護に関しては禁止されていないが、農務省の調査ではダイアジノンはきのこ類、クロルピリフォスはピーチに最もよく残留している。この研究は食品への残留は追跡していないが、研究者は農場でこれらに曝される移住労働者の暴露を懸念しているという。

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 Birth Weights Up After EPA Pesticide Ban, Study Finds,The Washington Post,04.3.25