BPA PVC水道管やカーボンレスペーパーからも吸収? 米国の新研究

農業情報研究所(WAPIC)

09.2.3

  米国研究チームが、哺乳瓶や食品容器から溶出して人体に入ることが知られ・女性ホルモン(エストロゲン)を擬態し・乳癌、心臓病、糖尿病との関連も疑われる化学物質のビスフェノールA(BPA)が、食品だけでなく、ポリ塩化ビニル(PVC)製水道管やカーボンレスコピー用紙・レシートなどもっと多くの吸収源があるかもしれないという新たな研究を発表した。

 Richard W. Stahlhut et al.,Bisphenol A Data in NHANES Suggest Longer Than Expected Half-Life, Substantial Non-Food Exposure, or Both,Environmental Health Perspectives,Online 28 January 2009
 http://www.ehponline.org/members/2009/0800376/0800376.pdf

 カナダ政府は昨年10月、BPAを含むポリカーボベート哺乳瓶の輸入・販売・広告の禁止や環境中に放出されるBPAの量の制限などを含むリスク管理を提案しているが(カナダ ビスフェノールAを毒物指定 含有哺乳瓶禁止や環境放出規制を提案,08.10.22)、さらなる対策が必要になるかもしれない。

 新たな研究は、検査を受けた人々の93%にBPAが検出された2003年と2004年に米国政府が行ったレビューに基づく。研究は、検査前に断食していた人々の尿中のBPAのレベルが予想に反して高いことを発見した。

 食品から取り込まれたBPAは、肝臓によって急速に無害な形に分解される。半減期は5時間ほどだ。15時間から20時間の間に、検出不能なレベルにまで減る。ところが、8.5時間以上断食をしたグループの尿中BPAの濃度が高まり続けるのを発見した。

 研究者によると、これは食品以外の吸収源を考えることで説明できる。もう一つ可能な説明は、人々が体脂肪の中にBPAを蓄積しており、断食の間にこれが放出されたということ。さらに、想像以上に長い時間、多量のBPAにさらされていたという説明も可能だ。

 食品以外の吸収源としては、従来の諸研究からして、OVC水道管(水を飲むことやシャワーを浴びるときの蒸気の吸い込みを通して吸収)やカーボンレスペーパー(接触によって肌から吸収)考えられる。また、歯の密封材、塵、空気、下水、埋立地浸出液などもあり得るという。