農業情報研究所環境農薬・化学物質・有害物質ニュース:2013年1月18日

ネオニコチノイド系殺虫剤 ミツバチをに引きつける顕花作物へ使用は許容できない 欧州食品安全機関

  欧州食品安全機関(EFSA、EUのリスク評価機関)が16日、世界中で広く使われているネオニコチノイド系殺虫剤とアメリカ、ヨーロッパ、その他の地域におけるミツバチの減少の関連性を初めて公式に認める報告書を発表した。

 報告書は、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムと呼ばれるネオニコチノイド系の代表的殺虫剤の種子処理剤および顆粒剤としての使用に関連したリスク―ミツバチのコロニーの生残と発達に与える急性・慢性の影響、ミツバチの幼虫と行動に与える影響、致死的でない容量が呈するリスク―を問う欧州委員会の諮問に答えるものである。

 既存の諸研究に基づくこのリスク評価は、主要な三つの暴露ルート―これらの薬剤で処理された作物の花粉と花蜜の中の残留薬物を通しての暴露、処理された種子の播種または顆粒施用のときに生じるダストを通しての暴露、処理作物から生じる溢液中残留物を通しての暴露―に焦点を当てた。

 結論は次のようなものであった。

 花粉と花蜜を通しての暴露:ミツバチを引きつけない作物、つま顕花植物以外の作物についてのみ、その使用が許容できる。つまり、ヨーロッパで広く行われているようなナタネ やトウモロコシやヒマワリなどへの使用は許容できない。

 ダストを通しての暴露:シュガービート(甜菜)への使用やガラス温室中の作物へ使用、顆粒剤の使用などの一部の例外は除き、ミツバチへのリスクのしるし(兆)がある、またはリスクは排除できない。

 溢液を通しての暴露:フィールド研究はミツバチへの急性影響を示している。

 ただし、結論はEUで許可されたすべての使用法をリストアップし・それぞれの暴露ルートを示す一覧表を含み、その中にはリスクが認められた場合、低いリスクが認められ場合、データの不足のためにリスク評価を完結できない場合もあるという。

 欧州委員会はこの評価を歓迎しながらも、分析された科学的データにはなお多くの不足があると言い、これら薬剤の開発会社(バイエル)は、この報告は既存のリスク評価の「質と 有効性」を変えるものではないと言っている。リスク管理はなお紆余曲折が予想される。

 EFSA identifies risks to bees from neonicotinoids,EFSA,1.16
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