農業情報研究所環境農薬・化学物質・有害物質ボルドー ブドウ栽培 農薬 ニュース:2016年2月13日

ボルドーで反農薬デモ ブドウ・モノカルチャー 子どもが白血病になっても危険な農薬散布はやめられない

  2月14日日曜日、およそ500人の市民が、あるいはマスクで鼻・口を覆い、あるいは養蜂業者が着る衣服を身にまとい、「子どもを護れ」と書いたプラカードを掲げ、ボルドーの中心街を行進した。主催したジロンド県農民同盟なども驚く反農薬デモの成功は、農薬の健康・環境影響を取り上げ、とりわけボルドーのブドウ園の大量の農薬消費に焦点を当てたフランス2の人気テレビ番組 « Cash investigation »が、市民の目を改めて農薬の危険性に向けさせたためである。

 2月2日に放映されこの番組、毎年6万5000トンを散布するヨーロッパ最大の農薬消費国フランスの中でもジロンド県は3320トンを散布するフランス最大の農薬消費地の一つをなし、ジロンドのブドウ園近くの132の学校の生徒20人の髪の毛から40以上の危険な農薬(中には10年以上前に禁止されたも含まれる)が検出された、ジロンド県の子どもの白血病罹患率は国の平均を20%上回ると報じた。これに目を覚まされた市民がこの日のデモに押し掛けたというわけである。

 Révélations de « Cash Investigation » sur l’agriculture qui tue,Le Monde,16.2.2

 Bordeaux Added to Pesticide Blacklist,Wine Searcher,16.2.10

 それにしても、ジロンド県は 何故これほどの農薬使用地域となっているのか。ブドウ栽培とワイン醸造は県経済の屋台骨である。県の542市町村のうちの441市町村にブドウ園があり、農業経営の78%がブドウ園を持ち、年500万ヘクトリットルのワインを生産する。このブドウ園では、べと病、灰色カビ病など伝統的なブドウ病害と闘うために、とりわけ殺菌剤が繰り返し撒かれてきた。このモノカルチャーが農薬大量散布の元凶である。

 繰り返される散布のために労働者や近隣住民とのトラブルが増え、裁判沙汰も増えている。 父と兄が職業病・癌に侵されたと訴える人もいれば、2014年には23人の生徒と教師がレクリエーションの最中に中毒なったこともある。それにもかかわらず、慣行は一向に改まらない。

 こういうブドウ園の農薬散布のとばっちりで自らの生産物が農薬汚染されても文句が言えない(そんなことをすればたちまち村八分だ) 有機農民は言う。慣行ブドウ栽培は過度の機械化と繰り返される農薬処理のわなはまり、行き詰っている。「菌の抵抗性が発達、効くのはより危険な古い薬だけだ」と。国立農学研究所(INRA)などの研究も、多くの種類の化学物資がべと病などの防除に有効でなくなったことを確認している。

 それでも、何の役にも立たない農薬を撒き続ける。ボルドーワイン職能間委員会のベルナール会長は、「我々は認可された製品を使っている。社会の期待があることは知っている。ブドウ栽培者には別の働き方を知らせている。だが、規則を変えねばならないとすれば、それは国がやることだ」 と言い返す。

 A Bordeaux, une manifestation contre les pesticides dans les vignobles,Le Monde.16.12.15

 さあー皆さん、ワインいっぱい飲んでボルドーを盛り立てましょう。ださい日本酒などくそくらえ!