農業情報研究所
タイ:京都議定書批准を急ぐな
農業情報研究所(WAPIC)
02.4.11
アマゾンの水系は予想以上に二酸化炭素を放出しているという米国とブラジルの研究者の研究結果がNature誌に発表された。この発見により、熱帯林が温暖化防止を助ける炭素吸収源として働くという通説に疑問が投げかけられることになろう。
この研究は、衛星画像、レーダー、その他のデータを利用し、アマゾン流域の河川と氾濫地域から排出される二酸化炭素が、今まで考えられていたより3倍も多いことを明らかにしている。純粋に水中での過程が起原の二酸化炭素が20%で、残りは森林に発し、雨と洪水により河川に流入したものである。
研究者は、アマゾンに関するこの結果から、世界の熱帯林の河川は、毎年、10億トンの二酸化炭素が排出されると推定している。これは森林破壊、化石燃料の燃焼、その他の人間活動により生み出される二酸化炭素の量のおよそ20%に相当する。
この研究結果が正しければ、京都議定書が二酸化炭素の排出削減量の計算に森林造成を含めたことに疑問が生じる。
なお、Nature誌は、河川から排出される二酸化炭素の起原を正確に決定するために、なお追加的な研究が必要だというイギリス研究者のコメントも掲載している。
Richey,J.E.Melack et al,Outgassing
from Amazonian rivers and wettlands as a large tropical source
atmospheric CO2,Nature,416,p17-620(2002)
Rainforest breathes out,Nature news,4.11