農業情報研究所


イギリス:新たな気候変動予測、農業・動植物相は激変

農業情報研究所(WAPIC)

02.4.26

 25日、政府と気候変動研究者の合作である「イギリスの気候変動シナリオ」と題するレポートにより、恐るべき将来像が示された。

 レポートによれば、気候変動は今までに予想された以上に早い。それは、既に今年の最初の3ヶ月の気温が過去1000年間で最高であったことに示されるが、2080年までに気温は2℃から3.5℃上昇、南部の夏は40℃に達すると予想される。

 夏は乾燥化が進み、50%も降水が減る南部の作物栽培は常時の灌漑を必用とすることになる。作物の生育期は地中海地域のように早まる。イギリスの農業、動植物物相は激変する。

 冬は温暖化するが、極端な降雨が増し、洪水が頻発、降雪はスコットランドの高地でも90%減る。ほとんどの地域で雪はみられなくなる。

 海面上昇は86センチメートルに達し、沿岸地域では、防災手段が改善されないかぎり、100年に1回とされる洪水が2、3年に1回起きることになる。イングランド東部は陸地が海面下に沈み、最悪の影響を受ける。

 レポートの発表に当たり、環境担当相・マーガレット・ベケットは、問題は最初考えていたよりも差し迫っており、「孫子のことを考えるのは正しいが、我々自身について心配を始めねばならないのを案じる」と警告している。 

 DEFRA News releases:It never rains, but it will pour ... Beckett sends early warning on climate change 165/02
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