農業情報研究所


WWF:温暖化で白熊が危機

農業情報研究所(WAPIC)

02.4.26

 世界自然保護基金(WWF)は、100日後の迫ったヨハネスブルグでの環境・持続可能な発展に関する世界サミットを前に、地球上の22万頭ほどの白熊に危機が迫っているというレポートを発表、地球温暖化に対する闘いで無駄にする時間はないと警鐘を鳴らした(WWF Press release:Polar Bears Victims of Inaction on Global Warming ,5.15Report:Polar Bears at Risk )。

 WWFによれば、狩猟・石油開発・化学物質汚染も無視できないが、気候変動が地球の大型肉食動物の生き残りにとっての第一の脅威となっている。温暖化はどこよりも極地でひどく感じられ、ハドソン湾からカナダに至る地域の白熊に影響を与えている。WWFは、これらの動物の60%は生息する一つの国が、なお京都議定書の批准をためらっているとコメントしている。

 温暖化により、春、氷の溶けるのが早くなり、白熊は無氷期を過ごすための脂肪が十分蓄えられることができず、夏の終わりには痩せ衰える。この1世紀で北国の気温は5℃上昇、20年間で大浮氷群の6%が消えた。2050年までには、夏季の氷による被覆は60%失われると予想される。氷無しの夏季は60日から150日に増える。白熊がその主要な餌であるアザラシを狩る拠点が消えてしまう。

 なお、18日付けのFinancial Times紙は、北緯85度の地点で、単独で北極を目指す冒険家・デイブ・ミルの周辺の氷が崩壊を始め窮地に立っていると伝えている。救出のための航空機が安全に降りる場所もない(Melting ice forces explorer to give up polar trec,Financial Times,5.18,p.5)。

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 Climate puts polar bears at risk,The Globe and Mail,5.15
 Polar bears 'facing extinction',Independent,5.14

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