農業情報研究所

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米国研究者、クリーン・エネルギーの緊急の開発研究を要請

農業情報研究所(WAPIC)

02.11.14

 11月1日付の「サイエンス」誌に、大学、国・民間(エクソン・モービルも含む)の研究所などからの18人の研究者チームが、地球温暖化を促進することなく世界のエネルギー需要を満たすためには、巨大な規模のクリーン・エネルギー探求を直ちに始めねばならないというレポートを発表した(<Martin I. Hoffert et al,Advanced Technology Paths to Global Climate Stability: Energy for a Greenhouse Planet,Science,Vol.298,No.5595,1 Nov. 2002,pp.981-987)。

 50年後に必要になるエネルギーは現在の3倍にもなり、これを温暖化ガスを生み出すことのない方法で生産しなければならず、そのためには、気候安定と経済発展の両方の要請を満たすために必要になる研究を直ちに始める必要があるという。研究者は、欠陥の多い既存のエネルギー技術(ソーラー・パネル、核、風力、化石燃料からの排出ガスの濾過など)の改善と、核融合、宇宙空間における太陽光発電などに向けての巨大規模の研究・開発を要請している。そのための費用には言及していないが、ニューヨーク・タイムズ紙(Scientists Say a Quest for Clean Energy Must Begin Now,The New York Times,11.1)は、「アポロ計画と同じほどの研究努力」が必要と表現している。

 ブッシュ政府が気候変動への人為的影響をなお疑問視し、温暖化ガスの削減努力に冷水を浴びせている米国でこのようなレポートが出されたことは、無意味なことではない。しかし、前記のニューヨーク・タイムズ紙は、研究が核融合やウラニウム等の燃料の限界を克服する新たな核分裂発電のような実現にほど遠い技術に焦点を当てており、現在可能な温暖化ガス削減の努力から目をそらさせる可能性があると批判する環境団体もある。

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 'Only technology revolution can save the Earth',Independent,11.1