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日本:関東地方、12月には珍しい大雪

農業情報研究所(WAPIC)

02.12.09

 今日9日、朝5時30分に牛乳を取りに玄関外に出ると銀世界、かなり積もって、なお激しく降り続いている。『朝日新聞』が気象庁の情報として伝えるところによると、「午前10時までの積雪は東京都心で1センチ、八王子市で11センチ、宇都宮市17センチ、水戸市14センチ、前橋市3センチ、横浜市3センチ、千葉市で5センチ、埼玉県熊谷市9センチなど」、「東京の初雪は平年より24日、昨年より12日早く、12月に積雪となったのは91年以来。千葉市のほか水戸市でも12月としては観測開始以来、最も多い積雪量となった。宇都宮市でも1位タイ、横浜市では47年に次ぐ2番目の記録となった。千葉市の初雪は平年より30日早く、現在の観測地点となった66年以来、87年の12月6日に次ぎ2番目だった」という。筆者が住む多摩東部の自宅の2階ベランダの手すりに積もった雪は、8時半現在で9センチ、この辺りに住むようになって40年以上になるが、12月これほど積もったという記憶はない。

 今年は、世界の彼方此方で、似たような現象が見られる。11月初め、カナダのノヴァ・スコシアでは、早すぎた重い、湿った大雪に、未だ重みに耐えられない脆い樹木が倒れ、10万人に停電被害が出ている(カナダ:早期の雪嵐、ノヴァ・スコシアで10万人が停電被害)。先月末には、米国・ロッキー山脈山麓の高速道路の凍結で、多数の事故が発生、死者も出ている(米国:大嵐、ワイオミングで多数の事故を引き起こす、少女が死亡)。同じころ、フィンランドでも、大量の湿った雪が電線上に倒れ、1万2000世帯が停電被害に遭っている(フィンランド:豪雪で1万2000世帯が停電)。いずれも滅多にないことであり、気候変動(温暖化)に伴ない秋から冬にかけての暴風雨がますます頻繁になり、激しくなるという、気候変動影響の研究が指摘する傾向との関連性が疑われる。ここ数年、ますますはっきりしてきたこの傾向も、相変わらず続いているようである。11月初め、中国南部は、秋には珍しい豪雨・洪水に見舞われた(中国:南部を襲った洪水で5万人が避難)。米国でも、再三の暴風雨、トルネードで多大な被害が出ている(米国:二回目の嵐、北部カリフォルニア、ネバダを打ちのめす米国:南部・中西部、嵐で35人が死亡)。ヨーロッパの暴風雨も激しさを増す一方のようだ(イギリス:スコットランド、洪水の矢面にフランス:ヴァール県で激しい雷雨)。

 今回の関東地方を中心とする12月には珍しい大雪も、このような全体的傾向の一つの現れかもしれない。思わぬ大雪に交通は大混乱、多くの学校も休校に追い込まれた。温暖化との関連は科学的に立証するのは難しいかもしれない。しかし、このような異変がますます頻繁になり、常態化する可能性を考えて、防災の見直しを含めた対応策を講じるのは間違っているとは思えない。むしろ緊急に必要ではないかと思われる。