農業情報研究所

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中国:厳しい干ばつが続く黄河流域

農業情報研究所(WAPIC)

03.2.10

 昨年、中国北部の黄河流域は厳しい干ばつにも見舞われたが、1月30日付のChina Daily紙が伝えるところによると、この干ばつは一向に和らぐ気配がないという(North China drought sees no signs of let-up)。

 内蒙古自治区の百万haの農地の灌漑水が不足している。ますます絶望的になる状況のなかで、農民は灌漑の必要性がより少ない作物の栽培、水節約方法の改善、地下水の一層の汲み出しなど、様々な手段を採るように要請されている。しかし、当局は、こうした手段が採られ、成功したとしても、なお6億km3から8億km3の水不足が残ると言う。専門家は、来月の平均気温は過去30年に経験した平均気温よりも高く、降雨は国全体で稀と予想する。国家環境予測センターの中心的研究者は、エル・ニーニョ現象が引き起こした干ばつはこの春いっぱい続き、中国北部にさらにカラカラの季節をもたらすだろうと言う。

 ひどく打撃を受けたもう一つの地域は、多くの水を黄河に頼る沿岸の山東省である。地方水資源局の統計によれば、昨年8月以来の降水量はこの50年間で最低である。4千800万の人々と500万haの耕地が何らかの影響を受け、300万ha以上がひどく乾燥、その3分の1の昨年の収穫は皆無であった。省政府は、この重要な肥沃地域を助けるために、1億8千万元(2千180万ドル)の救済基金を立ち上げ、900万の農民が冬季をやり過ごすのを助けるために政府倉庫から9千90sの穀物を供給した。山東省民事部は、省政府の様々なレベルで干ばつに襲われた農民を助けるための資金が捻出されている。2月1日に始まる春節に先立ち、大規模な農民救済基金が拡張されてきた。いくつかの地域での実験ののち、省西部のいくつかの都市では穀物貸付が本格的に始まった。貸付を受けた人々は、その作物が収穫される夏か秋に現物で返済することになる。

 こうしたなか、土地・資源部は、最近、関係地方政府に、計画的な干ばつ対策と灌漑システム建設プロジェクトを用意するように要請した。この計画の下では、地方政府は水の探査と監視を行い、緊急地域水供給計画を策定することを要請される。データを備えた地方政府は干ばつ地域が新たな井戸を掘るのを助けることができる。しかし、過剰な利水と汚染を避けるための水資源保護のためのキャンペーンも始まっている。