台湾、台風で21人死亡 1万人が孤立

農業情報研究所(WAPIC)

04.7.6

 台湾中・南部を襲った大型台風で21人が死亡、14人が行方不明となっている。さらに、山間地で数千人が孤立状態に置かれている(Rains bring new death and damage,The Taipei Times,7.6)。雨量はこの3日間で1000_に達し、2000_に達したところもあるという。さらに降り続く見込みで、被害は拡大する恐れがある。

 この台風は、既にフィリピンで32人の死者と11人の行方不明者を出している。山間地では、道路や橋が流され、電気も停電、9つの村が孤立している。住民は学校などに避難したが、学校にも水が押し寄せ、そこにもとどまれなくなっているという。悪天候のためにヘリによる救援物資投下もままならず、食料・水・乳児のミルクも欠乏しつつつある。土砂崩れで5つの水力発電所が破壊され、200人ほどのエンジニアや労働者も閉じ込められている。農業被害は、今までに33億台湾ドルに達した。

 政府は、犠牲者に105億台湾ドルの緊急援助を行うと決定した(Government finds NT$10.5 billon emergency fund for typhoon victims,The Taipei Times,7.6)という。

 もちろん前代未聞の大雨であり、被害だろう。台風がもたらす災害は、もはや以前の防災方法では防げなくなっている。移住も含めた防災対策の抜本的改変によってしか被災を回避できないところまできているのかもしれない。地球は何か、終末的な様相を呈してきた。これも温暖化のせいだとすれば、もはや手遅れかもしれないが、わが国も、一日も早く組織的な対応を始めるべきではなかろうか(参照:欧州環境庁、異常気象に組織的対応求める、ドイツは洪水被害軽減法制定へ,04.7.6)。

 それにしても、日本のマスコミは、中国広州の熱波による大量死(中国広州、熱波で39人が死亡,04.7.6)やこのような台湾の大災害を、何故まったく伝えないのだろうか。温暖化やそれに伴う災害への危機意識が低すぎるように思われる。