細分900万地域の2025年世界人口予想地図 自然災害のリスク軽減への貢献に期待

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.20

  コロンビア大学地球研究所気候システム研究センター(CCSR)の研究者が2025年の世界予想人口分布図を発表した。この地図は、900万に細分した地球上の諸地域の2025年の人口を、各地域の1990年から1995年までの人口変化を延長することで予想した結果を示す。併せて2005年と2025年の作物地不足地域と水不足国、2005年の一人当たりの森林面積が少ない国・一人当たり二酸化炭素排出量(国別)もマッピングされている。

 http://ccsr.columbia.edu/population/map/mapping3_v5_final_medRes.pdf

 Earth Institute News: It's 2025. Where Do Most People Live?(06.7.11)
 http://www.earthinstitute.columbia.edu/news/2006/story07-11-06.php

 地球研究所の上記ニュースによると、人口密度の最大の増加は、既に人口が稠密な途上国の諸地域で起きる。加えて沿岸から60マイル以内に住む人々の数が1995年に比べて35%増加、地球温暖化による海面上昇やその他の沿岸地域の脅威に27億5000万の人々が曝されることになる。

 また、地図は、ヨーロッパ南部、東欧、日本の多くの地域が大きな人口減少を経験することになると予想する。驚くべきことに、今まで国レベルの人口が比較的急速に増加してきたサブサハラ・アフリカ、中・南米、フィリピン、ネパール、トルコ、カンボジア、ビルマ、インドネシアの多くの地域でも人口減少が予想される。

 この研究を率いたCCSRのスチュアート・ガフィン氏は、「マッピングと長期的な集合的予測という人口統計学の二つの分野を繋ぐことで、我々は将来人々がどこに住むことになりそうなのか、またそれは何故なのかに関する知識を改善することができる。我々の仕事と同様な仕事が世界中の環境政策の改善と社会的弱者が直面する自然災害のリスクの軽減において中心的役割を果たすことを期待する」と言う。

 このような仕事は、来るべき数十年に、また極めて精細に人々がどこに住むのか、その数はどれほどかを知る必要のある自然資源保護や気候の専門家、その他の人々にとってとくに有益だ。データは、将来自然災害の被害を最も受けやすい地域人口の”最善の推測”も提供するという。

 なお、日本について言えば、2005年時点で全域が作物地不足地域となっている。二酸化炭素高排出国であることは言うまでもない。現在、将来ともに森林・水不足地域はないが、大量の食料輸入や二酸化炭素排出を通じて世界の他の地域の自然資源喪失や自然災害を加速することは避けられないだろう。

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