英国スーパーの花卉がケニアの川を空っぽに

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.21

 ガーディアン紙の報道によると、遊牧民や小農民が干ばつに悩むケニアで、テスコ、センズベリー、M&Sなどの英国スーパーに花や果実・野菜を供給する英国とヨーロッパの12の花卉企業が、ケニアの大河から大量の水を”盗み”取っている。先週、ケニアの水当局、地方団体、人権団体、開発団体、小規模農民が、ケニア山近くの花卉企業を、通常は川を満たしている水を”盗んでいる”と告発した。

 これら企業は、通常は10万以上の小農民が利用できる水の25%を取水しているらしい。ケニアは昨年、水を自由に利用にできる制度に終止符を打ったが、まだ個別企業がどれほどの水を使っているかは把握していない。政府指定の水当局者が夜間の見回りで、これら企業が夜10時から2時の間に水を”盗んでいる”ことが分かった。その量は正確には分からないが、大量の水を蓄えているという。

 告発者は、花卉企業は我々の水を輸出している、花の90%は水だ、我が国は世界で最も乾燥した国の一つだが、最も水が多い国に水を輸出していると言う。スーパーのコメントは得られなかったが、英国人所有の最大の園芸企業で、地域で300ha以上の花を栽培しているHomegrownは、五つの貯水池を建設、ケニア山の斜面の川の流路を変えてしまったという。

 記事は、英国スーパーの花卉がケニアの川を空っぽにしていると言う。

 How your supermarket flowers empty Kenya's rivers,Guardian,10.21

 食料輸入大国日本も、どこかでこんな罪を犯していないだろうか。

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