土壌有機物増やして温暖化抑制 農林業廃棄物からのバイオ燃料生産は?

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.15

 農業環境技術研究所が、堆肥など有機物を使う量や耕起の回数が土壌の炭素含量の増減に影響することを突き止めたと発表したそうである(「農地からのCO放出 耕起減らし抑制 農環研」 日本農業新聞、11月15日、1面)。

 「土壌に合った有機物投入量や耕起方法などの技術を確立できれば、炭素を土壌に蓄えることで、二酸化炭素(CO2)の大気中への放出を抑え、地球温暖化の抑制に貢献できる可能性がある」、「炭素を多く含む土壌は保肥力が高いため、農家にとってもメリットがある」という。

 農業・林業残滓のバイオ燃料生産利用に関係して、国連が「炭素隔離能力は、この有機物の大部分がバイオエネルギーに転換されるならば、減少し、大気中への炭素放出に結果する。特に(作物残滓を含む)原料製品全体が利用できる第二世代バイオ燃料については、農業者に収穫物の一定割合を畑に残すように説得するのは難しい」と指摘する報告書を出したのは今年5月のことだ(シンジェンタ エタノール生産用の糖化酵素内臓トウモロコシ 全廃棄物エタノール化への第一歩,07.11.13)。

 農環研の発見は、とっくの昔に国際的常識となっていたこととどう違うのだろうか。いずれにせよ、農水省が今年2月に発表した2030年までのバイオタノール生産拡大目標*と、自給飼料や土壌有機物を増やすという新たな目標が両立できるのかどうか、改めて検討する必要はないのだろうか。

 *稲藁、麦藁等の”草本系"原料から180200万kl、林地残材、製材工場等残材、建設発生木材等の”木質系”原料から200万〜220万kl生産するという(国産バイオ燃料の大幅な生産拡大,07.2.27)。