カリフォルニア州 世界に先駆け、輸送燃料からの温室効果ガス排出削減を義務付け

農業情報研究所(WAPIC)

09.4.25

  カリフォルニア州が4月23日、当初の予定通り(→トウモロコシエタノールに温暖化防止効果はない カリフォルニア低炭素燃料規格外)、州の輸送燃料からの温室効果ガス(GHG)排出を2020年までに10%削減するというシュワルツェネッガー知事の低炭素燃料規格を実施するための規則を採択した。これにより、カリフォルニア州は、全米諸州、というより世界に先駆け、温暖化防止策の一環としての輸送燃料からのGHG排出削減を義務付けることになる。シュワルツェネッガー知事は、16の州、オバマ大統領、米議会議員がカリフォルニアのモデルに合わせた国家規格を支持していると言い、環境団体は欧州連合(EU)の政策にも影響を及ぼす可能性があると言っているということだ。

 California Adopts Low Carbon Fuel Standard,California EPA-ARB,4.23
 http://www.arb.ca.gov/newsrel/nr042309b.htm

 U.S., California push ahead in climate politics,Reuters,4.23
  http://www.reuters.com/article/environmentNews/idUSTRE53M66720090424

  新規則は、燃料供給業者、精製業者、輸入業者、ブレンダーに対し、低められた平均”炭素強度”規格に合致する燃料をカリフォルニア州市場に供給することを義務付ける。この規格は、単に燃料の直接燃焼からではなく、燃料の生産・輸送・消費の全過程で排出されるGHGの総量によって決定される。消費者は、経済的メカニズムにより、広範な燃料選択肢の中から最も費用効率的でクリーンな燃料を選ぶことになるだろうという。

 大気資源局(ARB)によると、新規則は輸送のために使用される燃料の多様化を狙ったもので、代替燃料車市場を後押しし、2020年までに1600万トンのGHG排出削減を実現する。それは、この1世紀来の州の石油依存からの脱却を可能にし、エネルギー安全保障を改善するとともに、州の経済と公衆衛生を改善し、新たな職も創り出すという。

 ARBの分析によると、このために必要な15億ガロンのバイオ燃料を生産するために、25以上の新たなバイオ燃料施設が建設されねばならず、大部分は州の農村地域で3000の新たな職が生まれる。州内での燃料生産は、州外からの燃料購入を減らすことで、消費者のが州内に金を落とすことにもなる。

 州は、代替燃料の生産と流通への民間と連邦の投資の強化を求め、最も有望な低炭素燃料の早期の開発と商品化を助けるための資金を提供する。最もクリーンな燃料と車の商品化のために、年に1億2000万ドルを7年にわたって提供する。

 ただし、ほとんどが低炭素燃料規格に合わないと評価されたトウモロコシエタノールは、この援助の対象にならない。藻、木材、農業廃棄物、スイッチグラスなどのありふれた侵入種雑草、自治体の固形廃棄物などを使用する技術の開発から生まれる新世代燃料に期待する。また、ハイブリッド・電気・燃料電池自動車や、充電ステーション、水素ステーションへの投資の促進にも期待するという。

 間接的土地利用変化の影響も含めてGHG排出削減効果がゼロとされたトウモロコシエタノールについては、業界やその支持者は、バイオ燃料だけについてこういう間接影響を計算に入れるのは不公平と憤懣やるかたない。しかし、ARBは、間接影響に関しては将来の見直しをエタノール生産者に約束したが、他の燃料では大した間接影響がないという見解を支持した。

 Fuels must clean up act,Sacramento Bee,4.24
 http://www.sacbee.com/capitolandcalifornia/story/1806115.html