農業情報研究所環境気候変動・災害・砂漠化・水問題等ニュース:2010.10.22

今世紀 地球の大部分で高まる干ばつの脅威 米国大気研究センター研究者

 米国大気研究センター(NCAR)が19日、同センターの研究者による新たな研究によると、米国やその他の多くの人口を抱える国々は、来るべき数十年の間に、厳しく、長引く干ばつの高まる脅威に曝されることになると発表した。詳細な分析は、気候変動と結びついた気温の上昇が地球の大部分の地域で一層の乾燥条件を作り出す可能性が高く、いくつかの地域では、世紀末までに近代では稀にしか見られなかったスケールに達するだろうという。 

 Climate change: Drought may threaten much of globe within decades,NCAR & UCAR News,2010.10.1
 http://www2.ucar.edu/news/climate-change-drought-may-threaten-much-globe-within-decades

 この研究は、米国の西部の大部分で、2030年までに乾燥化が大きく進むことを示す。また、米国の大部分は、今世紀の間に、極端な干ばつのリスクにますます曝されるようになる。

 その他、次の国々と大陸で、乾燥化が大きく進むという。

 ・メキシコとブラジルの大部分を含むラテン・アメリカの大部分。

 ・地中海沿岸地域。ここは特に乾燥がひどくなる。

 ・南西アジアの大部分。

 ・アフリカとオーストラリアの大部分。特にアフリカの諸地域が乾燥。

 ・中国とその隣国の一部を含む南東アジア。

 ヨーロッパ北部、ロシア、カナダ、アラスカと南半球の一部では干ばつのリスクは減るが、地球の陸地は、全体としては乾燥が進む。北部、人口希薄な高緯度地方の湿潤化は、人口密度が高い温帯・熱帯地域全体の乾燥化と釣り合いがとれないという。

 この研究の著者は、「来るべき数十年、我々はいっぱいに広がる干ばつの可能性に直面するが、これは公衆によっても、気候変動研究界によっても、まだ十分に認められていない。この研究の予測が将来の現実に近いものとすれば、世界中の社会への影響は巨大なものになる」と言っているそうである。

 今年は、激烈な干ばつによるロシアの穀物減収が07-08年の食料危機の再来につながらないかと世界中が恐れている。近い将来、ロシアが、アメリカが、ブラジルがなどと、食料不安に毎年悩まされることになるのだろうか。

 このとき、日本人の頼りになるのは米だけだ。幸い、日本は乾燥が進む地域にも色分けされていない。ところが、「瑞穂の国」の住人である日本人は、消費者も、政治家も、役人も、米をますます粗末に扱うようになっている。日本人の年間一人あたり米消費量は58.5kg(2009年)、セネガルの73.8kg、コートジボワールの61kg(2007年)を下回るまでに落ち込んでいいる。それても、「米離れは止めることはできない、それに合わせて(米価下落を防ぐために)生産を減らすしかない」と決め込んでいる。これほどまでに米消費が減ったのは何故なのか。ご飯拒否症は、本当に不治の病になってしまったのか。そう問う人さえいなくなったようだ。