農業情報研究所環境気候変動ニュース 2018年10月21

 

フィンランド 2029年までに電熱生産の石炭使用を禁止 石炭火力と心中する安倍ジャパン

 

フィンランド政府が18日、電力または熱の生産のために石炭を使用するのを2029年までに禁止すべきことを提案した。提案は検討のために議会に送られ、来年早い時期に法律として承認されることになるだろうという。

 キンモ・ティーリカイネン農業及び環境大臣は、エネルギーに関する政府の全て提案は、気候変動を緩和すという同じ目標を共有している、「我々は石炭使用を断念する国々に最前線にいることを望む」、「同時に、エネルギー部門の企業が、どのようなタイミングでこれらの決定がなされるかを知ることが重要だ」と言っている。

 フィンランドの計画する一層の気候変動を回避する方法の一つは、化石燃料の使用を段階的に廃止し、バイオ燃料使用を増やすことだ。

 推定が示すところでは、国における石炭使用の全面禁止で二酸化炭素排出が年に100万トン減る。二酸化硫黄、重金属、その他の排出も、固形化石燃料燃焼を止めることで減る。

 石炭使用は続けて減ってはいるが、ヘルシンキ、エスポー、ヴァンターなど、多くの都市の発電所は、なお石炭を使用している。

 しかし、ヘルシンキのエネルギー企業・Helenは石炭使用を止める準備はできているという。地熱発電とか小さな原子力発電のような多くのテクノロジーが途上にある。問題はタイムラインだという。

 既にハナザーリ発電所を2024年までに閉鎖する決定で石炭使用削減に向けてスタートを切った。これを、既にエネルギーを生産している施設に置き換える。例えば、ヘルシンキのSalmisaari 地区には新たなペレット暖房設備があり、エスプラネードパーク大通りの地下にヒートポンプ施設がある。

 会社によれば、石炭に取って代える最速の方法はバイオ燃料の使用だが、国内には十分なバイオ燃料がないから、バイオ燃料獲得は大問題だという。

Coal ban proposal moves forward – Helsinki ready to turn off Hanasaari power plant,YLE,18.10.19

 それにしても、何が政府と企業をこれまでに動かしているのだろう。恐らくは、気候変動に対する国民の危機感の高まりであろう。昨日土曜日、8000人の人々がヘルキ元老院広場に参集、一層厳格な気候変動政策を求めてヘルシンキの街路をデモ行進した。主催者のウエブサイトは、次期議会が2035年までの化石燃料を全廃し、泥炭地拡大と国の森林伐採を止めるように要求している。

 

Thousands gather in Helsinki to demand swift action on climate change,YLE,18.10.20

 気候変動に関係するとみられる台風の強大化、前代未聞の豪雨、猛暑、干ばつ・・・で多くの人々が平穏な日常生活を奪われている日本では、こんデモは聞いたことがない(被災者にそんな暇はないし、都会の暇人は仕事と遊びに忙しい?せいぜい改憲反対!)。

安倍総理が「温暖化対策は競争力の源泉」、「我が国経済の力強い成長につなげていく発想が必要であります。こうした観点から、パリ協定に基づく長期戦略の策定に向けてこれまでの常識にとらわれない新しい政策の方向性を御提言いただきたい」(平成30年8月3日 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会 首相官邸)などと気候変動など他人事であるかのように呑気に構えていられるのも、

「石炭火力(と原発)と心中する安倍ジャパン」と国際的非難を浴びている(石炭火力と心中する安倍ジャパン―国際協力銀行、COP23会期中の融資決定の暴挙に国際的非難 YahooJapanニュース 17.11.17)のもそのためだ。