農業情報研究所環境環境・自然保護・生物多様性ニュース:2010年12月24日

イギリス研究者 蜜蜂の大敵、ヘギイタダニを自壊に追い込む方法を案出

 イギリス政府の蜜蜂研究者が、蜜蜂の大敵であるミツバチヘギイタダニ(以下、ヘギイタダニと略す)の遺伝子の天然の働きを”沈黙させる”方法を編み出した。無害な遺伝物質の導入により、遺伝子が天然の働きを発現するのを妨げるようにヘギイタダニの免疫反応を促すことで、これを自壊に追い込むことができる。

 ヘギイタダニは世界中の蜜蜂の最大の殺し屋となっている。1000匹のヘギイタダニが5万匹の蜜蜂のコロニーを壊滅させる。個体数が減少、密集することで温度を高めることもできない寒季の蜜蜂にとって、ヘギイタダニは特に致死的になる。これを殺すために養蜂家が使う薬剤に対しても抵抗性を身に付けてしまった。

 このようなヘギイタダニを自壊に追い込む新たな方法は、蜜蜂や他の動物には無害で、世界中で起きている蜜蜂の減少を食い止めることができるかもしれないという。

 ただし、遺伝情報の流れをコントロールする”RNA”干渉を利用するこのやり方は、今のところ、ヘギイタダニに重大な影響を与えることのない遺伝子にしか効かない。これを完全な自壊に追い込む特別な性格を持つ遺伝子を標的にする必要がある。実用化はしばらく先になりそうだ。

 Bee scientists to force killer mites to self destruct,DEFRA,12.22
 http://ww2.defra.gov.uk/news/2010/12/22/bee-scientists/