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ドイツ:通常の10倍の値段でも風力電力を買えー連邦裁

農業情報研究所(WAPIC)

03.6.24

 報道のよると、ドイツ連邦裁判所は、風力発電事業者からの高価格の電力購入を強制する更新可能なエネルギー法(EEG)は企業活動の自由を奪うから憲法違反であり、最低価格強制は違法な補助金に相当するという地域電力会社の訴え退けた。

 EEGは、ドイツ発電企業が風力発電電力の購入にkWh当たり0.03−0.05ユーロの通常電力の10倍以上にもなる0.48ユーロの最低価格を支払うと定めている。判事は、ドイツのエネルギー市場自由化にもかかわらず、電力企業は環境に優しいエネルギー生産には特別の責任を果たすべきと判決したという。なお、EUの欧州裁判所は、既に2001年、EEGが政府の間接補助金に当たらないと判決している。

 トリッティン連邦環境相(緑の党)はこの判決を大歓迎、主要電力供給会社が更新可能なエネルギーへの抵抗を諦める期待を表明した。環境相によれば、消費電力中の更新可能なエネルギーの比率は1998年の4.6%から現在は9%に飛躍しているという。世界の風力エネルギーの3分の1が1万4千の風車をもつドイツで生産されている。最近のシェルの研究によれば、更新可能なエネルギーは、2050年までには世界で利用されるエネルギーの50%に達する。ドイツと並び、日本、デンマーク、米国がリーダーになるという。ただし、ドイツの風力発電は、既にスペースの面から限界に達している。太陽エネルギー・ブームも去りつつあり、昨年設けられた新たなユニットは6万5千、2001年の半分になっている。太陽エネルギーの比率は、未だ1%に達していない。

 Pushing Green Energy,dw-world.de,6.12