バイオジーゼル 温暖化抑制に効果がないか、却って促進する可能性ー米国の研究

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.26

  バイオジーゼルは地球温暖化抑制に役立つと、世界中で増産の動きがあるが、生産から車での燃焼までのライフサイクル全体で温室効果ガスの排出量を比較すると、石油由来の通常のジーゼルとほとんど変わらないか、むしろもっと多くなる可能性もあるという研究が米国で現れた。

 石油ジーゼルから出る温室効果ガスの85%はエンジンで燃やされる最終段階で出る。これに対して、主なバイオジーゼルとなっている菜種由来のバイオジーゼルからの温室効果ガスの3分の2は、農地が酸化窒素ー二酸化炭素の200-300倍の温暖化効果があるーを排出する菜種の栽培過程で排出されるという。

 ScienceDaily: Biodiesel Won't Drive Down Global Warming,sciencedaily,4.23

 既にトウモロコシを原料とするバイオエタノールについても同様な研究がある(食料作物原料のバイオ燃料 温暖化抑制への寄与は少さく、食料不足も招くー米国の研究,06.7.12)。

 バイオ燃料は生長過程で吸収した炭素を吐き出すだけだから温暖化に対しは中立とされ、その生産と利用の拡大は温暖化対策の重要な手段と認められ、推進されてきた。

 しかし、そのためにわざわざ大量の農作物を追加栽培せねばならないということなら、我々は何のためにそんな努力をしているのかわからないことになる。