ブンゲ社がブラジルでエタノール生産 バイオ燃料事業に殺到する穀物メジャー

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.19

  カーギル、ADM、ルイ・ドレフュスと並ぶ穀物メジャー・ブンゲ社が17日、ブラジルのミナス・ジェライス州のサトウキビ圧搾工場とエタノール生産施設(アグロインダストリアル・サンタ・ジュリアーナ)を取得する協定に調印したと発表した。これはブンゲ最初の砂糖とサトウキビベースのエタノールの生産設備となり、同社の既存の世界的砂糖販売・貿易事業を補完することになる。

 Bunge to Acquire Santa Juliana Sugarcane Mill in Brazil,PR Newswire,9.17

 昨年操業始めたこの工場は、来るべき収穫シーズンには160万トン圧搾能力を持つことになる。数年以内に、年間400万トンに能力を拡大する計画という。

 穀物メジャーは、ここ数年の間に降って湧いたような世界的バイオ燃料ブームに新たな商機を見出した。

 1970年代から政府助成を働きかけてきたADMは(バイオ燃料エタノールブームに隠れたリスク 米国で懸念が広がる,06.6.26)、いち早く米国内でのトウモロコシを原料とするエタノールの生産を拡大してきたが、最近のブームで、ブラジルのサトウキビを原料とするエタノールの生産にも乗り出した。さらに、ヨーロッパと東南アジアでも、主にパーム・オイルを原料とする大規模なバイオディーゼル精製工場の操業を開始した。

 カーギルも同様だ。米国とブラジルでエタノールの生産を拡大する一方、東南アジアでは大規模なオイルパーム・プランテーションを取得、マレーシア、インドとヨーロッパ4ヵ国でバイオディーゼル精製工場を操業している。

 ブンゲもドイツ等ヨーロッパ4ヵ国と米国イリノイにバイオディーゼル合弁工場を作り、米国アイオワとブラジルでのエタノール事業に着手した。

 ルイ・ドレフュスは最近、インディアナで生産される大豆の5分の1近くを加工する世界最大級の大豆原料バイオディーゼル工場を完成させた。

 こうした穀物メジャーが主導するバイオ燃料生産が生産効率一辺倒の原料農産物生産につながるのは必定だ。専らこれら穀物メジャーと巨大アグリビジネス(モンサント、シンジェンタ、デュポン、コナグラ、伊藤忠、丸紅・・・)を利するだけの、大量の化学肥料と農薬や遺伝子組み換え作物に依存する大規模モノカルチャー化が加速する。自給的小農民の駆逐、環境破壊と農業自体の持続可能性の喪失がますます加速する。小農民を利し、環境に優しいバイオ燃料 ?そんなものは幻想だ。