ブラジル 2020年までにはエタノール消費がガソリン消費を抜く

農業情報研究所(WAPIC)

07.10.10

  ブラジル国営石油会社・ペトロブラスのセルジオ・ガブリエリ最高経営責任者が、5日に開かれた輸送セミナーで、ブラジルでは、2020年までにはガソリンよりもエタノールの消費量が多くなるという見通しを明らかにした。ガソリン消費は増えるが、他の燃料の消費がそれ以上に増える。サトウキビから作られるブラジルの大部分の地域のエタノールはガソリンより安い。エタノール・ガソリンの混合比率を自由に変えることのできるフレックス車の販売が増え、エタノール販売が急増することになるという。

 Ethanol Sales To Exceed Gasoline In Brazil By 2020 - Petrobras,Cattle Network,10.9

 フレックス車は2003年に導入されたが、販売は急増、今や新車販売の85%を占めるに至った。ペトロブラスは、ブラジルの軽量車占めるフレックス車の比率は、2006年の12,8%から2020年に71.5%に増えると予想する。ガソリン車は70.8%から13.4%にまで減ると予想される。そして、ブラジル市場におけるエタノールの価格優位が続くとすれば、フレックス車が消費する燃料の57%がエタノールになる。

 ペトロブラスは今、そのコア・ビジネスである石油製品販売を縮小を”予告”している。彼は、「燃料市場は変化する。従って、(石油)代替燃料を探すことになる」と言う。

  同社は最近、エタノール生産に参入する計画を発表した[従来は流通に、ほぼ独占的かかわってきた]。ブラジルの最大40のエタノール工場の株を購入することになるう。ブラジルのエタノール消費量は、2006-07年収穫シーズンの125億リットルから、2020年には296億リットルに、輸出量は同じ期間に34億リットルから165億リットルに増えると予想する。

  このようなエタノール消費の増加にもかかわらず、すべてのタイプの車で広く使われているディーゼルの重要性は変わらない。2006年には自動車用燃料の52.5%を占めるが、2020年にも50.5%を占める。政府は、ディーゼルに、2008年からは2%、2013年からは5%のバイオディーゼルの混合を義務づけている。大豆、ヒマ、ヒマワリなどから作られるバイオディーゼルは、2020年には自動車用燃料の2.6%を占めると予想されるという。

 なお、ブラジルでは最近、穀物メジャー・ADM、ブラジルの中心的エタノール企業・Cosan SAなどの大企業によるマト・グロッソ州、アクレ州などアマゾン地域での大規模バイオディーゼル工場建設計画が相次いで発表されている。ただ、原料は高価な大豆で、通常のでディーゼルと対抗できない。小規模農民も栽培できるヒマやヤトロファを原料とするバイオディーゼルの開発が追求されているが、生産コストが高すぎる、農民はこのような非食料作物を栽培するノウ・ハウを持たないなどの問題があり、前途は多難の様相を呈している。

 関連情報・資料
 
ブンゲ社がブラジルでエタノール生産 バイオ燃料事業に殺到する穀物メジャー,07.0.19
 ブラジル燃料エタノール統計,07.10.4