マレーシアと日本のCDM関連企業 サラワクのバイオディーゼル等プロジェクトで提携

農業情報研究所(WAPIC)

08.2.14

 マレーシア企業・Carbon Capital社とジャパン・カーボン・マーカンタイル社(名古屋)が、サラワクのタンジュン・マニスでバイオディーゼル工場、原料となるヤトロファとオイルパームのプランテーション、バイオガス・プロジェクトの開発で手を組む。バイオガス・プロジェクトは、サラワクにおけるクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトの一環とする。

 バイオディーゼル工場は年産24万トンの能力を持ち、プランテーションの面積は10万fになる。この5年間のプロジェクトに、とりあえず10億リンギ(約330億円)を投じる。マレーシア政府は”サラワク再生可能エネルギー回廊”(SCORE)と呼ばれる貧困軽減と工業開発を目的とする地域開発計画を持つが、両社は11日、SCORE始動をめざす協定を結ぶための了解覚書に調印したという。

 Carbon Capital社はバンコク、クアランプール、クチン、ニューデリー、東京に事務所を持ち、マレーシアにおけるCDMプロジェクトの策定を手がける。ジャパン・カーボン・マーカンタイル社は世界有数の自動車部品会社であるカナダ・マグナ・インターナショナル社の100%子会社で、炭素排出権取引とCDMプロジェクトへの投資を中心業務にしているという。

 Malaysian-Japan JV In RM1 Bln Biodiesel, Jatropha & Biogas Deal In Sarawak,Bernama,08.2.12
 http://www.bernama.com/bernama/v3/news_business.php?id=313492

 これを伝えるマレーシア国営通信(Bernama)は、このようなプロジェクトの是非や成否の可能性についてはまったく触れない。しかし、AP通信の伝えるところによると、マレーシア政府はパームオイル・バイオディーゼルの強制ブレンド計画を見直しの最中だ。原料であるパームオイル粗油(CPO)の価格がこの2年で2倍以上に値上がりしているからだ。2006年に国家バイオ燃料政策を策定したときの価格はトン当たり1400リンギほどだったが、今や3000リンギを超えた(→CPO(パームオイル粗油)先物相場(マレーシア:BMD:期近)の推移)。

 当局者は、「政府はバイオディーゼル・ブレンド実施の費用と便益をなお研究中だ」と言う。CPO価格の急騰(rocketing)でバイオ燃料プロジェクトは瀕死の危険(jeopardy)に曝されている。91のライセンスが出されたが、操業しているのは4つの企業だけだ。会社はライセンスの返還も考えるべきだという。 

 Malaysia Reviews Proposed Biofuel Policy Amid Rising Palm Oil Prices,soyatech.com,08.2.13
 http://www.soyatech.com/news_story.php?id=6766

 世界的需要の急拡大と生産不安定化に伴う食料価格の急騰は、とりわけ貧しい途上国における食料生産・供給能力の拡大を二の次にしたバイオ燃料拡大計画の是非を問うようになってきたが、今やその是非のみならず成否の可能性さえ問うようになっている。

 関連情報
 
マレーシア政府 バイオ燃料生産ライセンス取り上げも、パームオイル高騰で操業は僅か5社,07.12.11
 マレーシア パームオイル高騰でバイオディーゼル産業はなお”森の中”,07.11.15