ロシア首相 バイオエタノール工場30の新設を支援 年250万klを生産

農業情報研究所(WAPIC)

08.3.17

  ロシアのズブコフ首相が今月12日、木材産業会議で、30のバイオ燃料工場の新設を支援すると表明した。ロシアを世界第一級のバイオ燃料生産者にというプーチン大統領の要請を受けたものという。

 首相によると、バイオ燃料生産開発のための政府プログラムは今年スタート、30のエタノール工場を新設するとともに、既存施設も更新する。このプログラムが成功すれば、年に200万トン(250万kl)のエタノールが生産されることになる。ただし、この目標を何時までに達成するかについては言及がなかった。

 Zubkov Backs Plan for 30 Biofuel Plants,The Moscow Times,3.13
 http://www.themoscowtimes.com/stories/2008/03/13/041.html

  2020年までに360億ガロン(およそ1億トン)の目標を掲げる米国には及びもつかないが、今でも輸出税で押さえ込みを図っている穀物価格(ロシア政府と食品産業 基礎食品の価格凍結で合意 高率穀物輸出税は当面棚上げ,07.10.26)は一体はのはどうなるのだろうか。

 アレクセイ・アブラエフ全国バイオ燃料協会理事は、木材産業に宛てての発表だから、少なくとも一部の工場はおが屑などの木材廃棄物からエタノールを生産することになるのだろう、農作物の燃料転換と同じほどに効率的に燃料を生産する技術の開発も近いと言う。

 しかし、彼によると、ロシアのビジネスは小麦などからのエタノール生産にも熱心だ。ヴェードモスチ紙が12日付で伝えるところによると、アレクサンダー・リャザーノフ前ガスブロム副CEOはタンボフ州で25万トンを生産するエタノール工場の建設を計画しているが、大部分は小麦から生産する。

 アブラエフ氏は、ロシアには4000万haもの未利用耕地があるから、そこで作物を栽培すれば収穫の一部を燃料に転換してもパンの値段を吊り上げることにはならない、ヨーロッパの半分でしかない農業の生産性を引き上げる余地もあると言う。

 ただ、ロシアでエタノール生産が離陸しても、少なくとも現在は、輸出市場向けになる。政府はエタノール1リットルの販売に、他のスピリッツと同額の26ルーブル(1.10ドル)の消費税をかけており、この税金だけでもガソリン1リットルのコストを超えてしまう。国内市場での販売は商売にならないという。

 世界穀物市場への影響も含め、先行きは分からないことばかりだが、ロシアでもバイオ燃料ビジネスが走り出していることだけは確かなようだ。