タンザニア バイオ燃料プロジェクトと新規土地取得を停止 農民からの土地収奪に抗議の嵐

農業情報研究所(WAPIC)

09.10.5

 バイオ燃料産業による農民からの土地収奪に対する抗議の嵐のなか、タンザニア政府が、あらゆるバイオ燃料投資の一時中断を決めた。

 バイオ燃料プロジェクトのために国全体で5000の稲作農民が土地を追われるか、追われようとしているという先週のEast African紙(ナイロビ、週刊)の報道*に触発された抗議は、先週水曜日、政府は農民を犠牲にバイオ燃料投資を”底なしの奈落”のごとくに扱っているというサコイネ農業大学の研究者の発言で頂点に達した。

 *Rice farmers may be evicted by new biofuel companies,The East African,09.9.28
 http://www.theeastafrican.co.ke/news/-/2558/663988/-/qyclh8z/-/index.html

 今週のEast African紙の報道によると、政府は、個々の投資の選抜基準の見直しを終えるまで、あらゆるバイオ燃料プロジェクトのスタートを停止させる。また、バイオ燃料投資家への巨大な面積の土地の配分も停止する。

 ジョカヤ・キクウェテ大統領は、すべての地域当局に、現在と将来のバイオ燃料プロジェクトと村人からのさらなる土地取得の停止を命じた。農業・食料安全保障・協同組合省のバイオ燃料生産調整官(女性)は、明確な手続きと政策ができるまで、バイオ燃料投資と投資家によるさらなる土地取得を停止させたと語った。

 彼女は、政府はバイオ燃料投資家の存在についてほとんど何も知らないが、全体像の把握に全力を尽くすと言う。省が今までに把握しところでは、国の土地の47.5%が農業と畜産に利用されており、37.1%はブッシュと樹木地、7%が水源地、8.6%が湿地、建築物用地が0.3%、露出岩地が0.2%となっている。

 同紙が得た情報では、バイオ燃料、特にヤトロファ栽培によって脅かされているのは、三つの主要土地利用である。バイオ燃料投資家に譲られたのは、農業用地の17.5%、牧畜に適した牧草地の29.4%、森林・樹木地・ブッシュ・草地の37%に上る。これらの土地には、移住させられた農民や家畜保有者が侵入することも十分にあり得る。

 タンザニア投資センターは、投資プロジェクトに適しているとして、250万ヘクタールの土地を特定目的のために取り置いている。農業用地が110万ヘクタール、建築用地が140万ヘクタール、工業用地が53万7880ヘクタール、鉱業用地は4万4580ヘクタール、牧畜用地が23万8939ヘクタール、観光用地が71万1027ヘクタールということだ。

 Public fury halts biofuel onslaught on farmers,East African,09.10.5
 http://www.theeastafrican.co.ke/news/-/2558/667648/-/qy9vngz/-/index.html

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 外国農業・バイオ燃料ビジネスに蹂躙されるタンザニアの肥沃地,09.2.10