農業情報研究所エネルギーニュース:2011年5月18日

FAO バイオエネルギーの便益と食料安全保障への影響を評価する新たなツールを発表

 国連食糧農業機関(FAO)が、バイオエネルギーがもたらし得る便益と食料安全保障へのあり得る影響を評価するツール・"Bioenergy and Food Security (BEFS) Analytical Framework" を発表した。

 これは、バイオエネルギー開発の可能性(フィージビリティー)と、食料の利用可能性及び家庭の食料安全保障への影響に関する重要問題への答えを求める一連のステップ・バイ・ステップの評価からなる。社会・環境面の影響も考慮されている。

 その目的は、バイオエネルギー開発が現実的可能性を持つ選択かどうかについて政策メーカーが情報に基づく決定をなし、もしそうならば便益を最大にし、リスクを最小にする政策を突きとめるのを助けることにある。

 バイオエネルギー開発は、ネルギー安全保障を改善し、温室効果ガス削減に寄与し、農業と農村地域インフラへの投資を促すことで雇用を創出し、家庭の所得を増やし、貧困と食料不安を軽減する可能性を持つ。

 しかし、バイオエネルギーへの関心が高まるとともに、あり得る悪影響への懸念も高まってきた。主なリスクは、バイオ燃料作物の拡大が食料生産を高価なものにし、食料の利用可能性を減らし、食料価格をつり上げることにある。また、新たな土地のバイオエネルギー作物への転換による森林破壊や先住民への影響も心配される。

 それがこのようなツールを開発した理由という。

 
New tool for weighing pros and cons of bioenergy,FAO,5.17

 関連情報
 翻訳:2008年FAO食料農業白書第1部(バイオ燃料)序章と目次,08.12.22
 
「バイオ燃料の持続可能性に関する調査報告書」(2009年3月)「1-1 国連報告書(持続可能なバイオエネルギー:政策決定者のための枠組み)」