農業情報研究所環境エネルギーニュース:2013年7月4日

欧州環境庁 作物ベースバイオ燃料は環境に利あらず 間接的土地利用変化による環境影響大の報告書

 欧州環境庁(EEA)が7月3日、バイオ燃料の環境便益は何を原料とするかで大きく異なる、農産残滓や廃棄物を原料とする場合には温室効果ガス排出や生態系への影響に関して化石燃料より有益だが、エネルギー作物栽培は森林破壊などの間接影響が大きいなどする報告書を発表した。現在中心となっている食料作物を原料とするバイオ燃料、いわゆる第一世代バイオ燃料は、特に効率の悪いバイオマス利用法で、最大の環境影響はILUCとして知られるバイオ燃料のたの森林破壊、泥炭地排水、その他の開墾から来る。間接的土地利用変化(ILUC)による環境悪影響は現在のEUの政策では考慮外だが、この問題に取り組む必要があると信じると言う。

  http://www.eea.europa.eu/publications/eu-bioenergy-potential

 これが注目されるのは、バイオ燃料生産のための世界の土地転換―ILUCの影響を制限することを主眼とし、2020年の輸送用燃料中に占める食料作物ベースのバイオ燃料の比率は最大5%にとどめるなどする欧州委員会の「エネルギー指令」および「燃料品質指令」の改正案(→バイオ燃料をめぐる国際動向:2012年)に関する欧州議会委員会の投票を一週間後に控えたタイミングでの発表だからだ。

 10日の投票を控え、バイオ燃料産業や農業者団体は、5%制限やILUCの考慮は産業の崩壊につながると、欧州委提案を覆すべく猛烈なロビー活動を続けている。EEAはこれに反撃したのかもしれない。しかし、提案が採択されるかどうか、なお予断は許されない。

 EU debates U-turn on biofuels policy,Nature News,7.1