農業情報研究所環境エネルギーニュース:2014年4月24日

米国EPA セルロースバイオ燃料使用目標を大幅切り下げ 生産の現実に合わせる

 米国環境保護局(EPA)が22日、トウモロコシの茎葉や草を原料とする”先進的”セルロースバイオ燃料の2013年義務的使用目標(再生可能燃料基準=RFS)を大幅に切り下げた。昨年の生産量が昨年8月に定めたRFSに届かないことが明らかになったことを受けたもので、既定の義務的使用量600万ガロンに対し、新ルールによる義務的使量はたったの81万ガロンにすぎない。

 石油精製業者団体はセルロース燃料の義務的使用量は、開発を促すための希望的生産予測ではなく現実的な生産に基いて決めるべきだと主張してきた。ガソリンまたはディーゼルに混ぜるセルロース燃料が利用不能な場合には数百万ドルにものぼるクレジット購入を義務づけられるのだから当然のことだ。業界は1700万トンという2014年のセルロース燃料RFSも非現実的として見直しを要求している。

 EPA cuts 2013 target for cellulosic biofuel,Reuters,14.4.23

 非現実的なセルロース燃料RFSが毎年設けられるのは、2005年エネルギー法が2022年までに160億ガロンの使用を義務づけており、それを実現すためには急ピッチの開発が要求されるからだ(注)。しかし、その開発は技術とコストの壁に突き当たり、一向に進まない。もはや石油依存を減らすという輸送エネルギー戦略そのものが破綻に瀕していると言えそうだ。

 (注)エネルギー法は2022年までに360億ガロンのバイオ燃料利用を義務づけたが、現在主流のトウモロコシエタノール=第一世代バイオ燃料の義務的使用量は2015年から150億ガロンに固定され、残りの210億ガロンはセルロース燃料160億ガロンを含む第二世代バイオ燃料で満たすとしている。

 関連情報

 Renewable energy: Biofuels heat up,Nature News,14.4.23