農業情報研究所環境エネルギーニュース:2015年9月24日

遊休ゴルフ場が続々太陽光発電所に 日本はメガソーラーで洪水列島に

 「バブルがはじけた1990年代の後半からゴルフ場の閉鎖が急増して、広大な跡地は用途が決まらないまま放置されるケースが多い。用地を造成する手間が少ないメリットを生かしてメガソーラーの建設が続々と始まった」そうである(ゴルフ場が太陽光発電所に変わる、全国各地に広がる建設計画 スマート・ジャパン 15.9.21)。

 企業は遊休地の活用と胸を張っているようだが、この記事中の下に掲げるようなな写真を見て背筋が寒くなった。「この景色を見ると、『自然エネルギーが普及してきたのだな』という感想よりも先に、『いったいこれは何なのだ』という疑問がわいてくる」(自然エネルギー開発に冷水を浴びせる――ウィナー『鯨と原子炉』の示唆と予言 吉永明弘 / 環境倫理学  SYNODOS 15.9.17)。それだけではない。まさしく喜んでばかりはいられない太陽光発電急成長 奪われる生物多様性」(15年8月30日)ではないか。

 

 「風景」だけが問題なのではない。日本のゴルフ場は平地に隣接する高所や山地の至る所にある(→全国ゴルフ場マップ)。太陽光がそこで育む豊かな生態系、生物多様性の破壊は山地の保水力を奪い(大雨が土に浸み込むことなく一気に流れ下り)、今後ますます頻度と強度を増す豪雨による下流の大災害を頻発させることにつながるだろう。 

 このようなメガ―ソーラー建設は、徹底的な社会(食料・バイオマスエネルギー資源争奪のためのランドラッシュにも似た地方住民収奪)・環境・洪水リスク評価に服さねばならない。国・自治体は、外国資本による山林買収規制に勝るとも劣らぬメガ―ソーラー規制を急ぐべきである。さもないと、日本はメガソーラー=洪水列島になるだろう。

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