タイ、鳥インフルエンザの新たな犠牲者確認 人→人感染の疑い、なお消えず

農業情報研究所

04.9.28

 タイ公衆保健省は27日、23日に死亡した北部・カムペーンペー ト県の32歳(36歳というの報道もある)の女性の鳥インフルエンザ二次検査の結果、H5N1ウィルスへの感染を確認したと発表した。9月8日には、8月に死亡した18歳の男性の感染が確認されており、1月の鳥インフルエンザ勃発以来10人目、7月の再発以来2人目のタイにおける犠牲者となった(このほか、ベトナムで19人が犠牲となっている)。

 この女性のH5N1感染が確認されたことで、スダーラット保健相は厳戒体制を全国規模に拡大すると発表した。これにより、呼吸器の異常、とくにインフルエンザや肺炎の症状を示す国全体の患者がチェックを受け、鶏と接触した患者は即座に鳥インフルエンザが疑われる患者のリストに載せられ、治療中は隔離されることになる。現在、疑われる患者は18人で、感染が確認されたのは2人となっている。

 この厳戒体制が敷かれたのは、とりわけこの女性の感染が人→人感染の恐怖を駆り立てたからだ。この女性と同居していた11歳の姪は12日に、その母親である26歳の妹も娘を病院に見舞った8日後に、肺炎症状で亡くなっている。また、今回死亡した女性の息子も発病している。いずれも鶏と接触したことが確認されず、ウィルスが人から人に感染するように変異したのではないかと疑われた。

 だが、今回死亡した女性と姪は、先月、自宅で死んだ鶏と直接接触していたことが分かり、鶏からの感染の疑いが強まった。県と病院の別々の検査でも、ウィルスの変異はなかったことが確認されたという。妹(と姪)の感染の検査結果はまだ出ていないが(今週末になるという)、妹の感染経路は、いまのところ娘以外に考えられない状態にある。さらに人→人感染の恐れは、今、息子に集中しているという。

 昨日、保健専門家が、世界保健機構(WHO)と米国疾病抑制予防センターの専門家とバンコクで会合、全体的状況を議論した。今日、記者会見を開く。バンコク・ポスト紙によると(National bird flu health alert,Bangkok Post,9.28)、ソムサン医療科学局長は、チェンマイで、人→人感染の可能性は排除できないと語ったという。

 保健省は昨日、カムペーンペー ト県のすべての家禽の畜産開発局の許可なしでの屠殺処分も命じた。また、国中の100万にのぼる保健・医療関係者が、すへての村にハンドブックやポスターを配り、人々に死んだ鶏の監視の必要性を訴えるように命じられた。

 関連情報
 
タイ、鳥インフルエンザで初の人→人感染の疑い 厳戒体制へ,09.9.25