中国 人間で初の鳥インフルエンザ死を確認 政府は家禽感染拡大防止緊急措置を決定
05.11.17
日本のマスコミも報じているように、中国メディア(xinhua.net)とWHOが16日、中国で人のN5N1鳥インフルエンザによる死が初めて確認されたことを発表した。
China confirms 1st human bird flu cases,xinhua.net,11.16:20時10分39秒
http://news.xinhuanet.com/english/2005-11/16/content_3790304.htm
鳥インフルエンザ死したのは安徽省の24歳の女性で、11月1日に発病、11月10日に死亡した。
10月に死亡した湖南省の12歳の少女もH5N1ウィルスで死亡した可能性が高いが、信頼できる検体が利用できないために、WHOの定義に従った鳥インフルエンザのケースとしては確認できないという。
また、回復しつつあるというこの少女の9歳の弟は既にH5N1ウィルス感染が確認されており、中国の人感染例の第一号となる。
中国での鳥インフルエンザの勃発状況と人間の家禽との緊密な接触の習慣を考えれば、これは驚くに値しない。鶏の数とこれに接触する人口の巨大さを考えると、これまで感染が確認されねかったほうが不思議だ。今回のケースも最初はH5N1ウィルスに陰性だという検査結果が報告されており、疑問をもったWHOの参加する共同調査で漸く確認された。この件で浮き彫りになるのは、むしろ中国の感染発見・確認体制のお粗末さのほうだ。
しかし、それが改善されたとしても、歯止めがかからない鳥インフルエンザの拡散が止められないかぎり、経済的被害が甚大となり、人の感染も不可避だろう。だが、広大な国土、巨大な家禽数と人口を考えれば、いかに強大な国家権力をもってしても、有効な対策が可能かどうか危ぶまれる。
闇ワクチン使用が感染源ではないかと疑われていた遼寧省では、省政府が16日、感染源は渡り鳥である可能性が高いと発表した。勃発地は東アジアからオーストラリアへの渡りのルートに位置し、途上の一定期間、渡り鳥が留まる湖沼も多い。今年は気温が異常に高く、渡り鳥の停泊期間が延びているという。
Bird flu virus in Liaoning may come from migratory birds,xinhua.net,11.16
http://news.xinhuanet.com/english/2005-11/16/content_3791327.htm
かといって、感染源を絶つためにすべての渡り鳥を処分することは不可能だ。15日に農業部はすべての家禽へのワクチン接種の計画を発表した(鳥インフルエンザ 中国が全家禽にワクチン接種 ベトナムは2大都市の全家禽処分を計画)。しかし、拡散の防止には、この場合でも、家禽の感染をいち早く発見し、感染地域の家禽を処分するしかない。そのためには、何が必要なのだろうか。
China Daily紙によると、首相の主宰で急遽開かれた国務院会合で、緊急対応措置の草案が承認された。これらの措置には次のようなものが含まれるという。
・家禽加工・販売ビジネスは今年、法人税を免除されるともに、税の払い戻しも受ける。
・家禽産業は2006年の前半、土地利用・不動産・自動車税を減免される。
・政府は勃発地域におけるワクチン接種と家禽殺処分の為の補助金を約束する。
・すべての強制ワクチン接種は無料とする。
・銀行は、主要家禽ビジネスのローン返済期間を延長し、鳥インフルエンザ勃発期間の返済不履行者を罰しないように命じられる。
・被害を受けたビジネスによって解雇された被雇用者は失業保険か、都市住民のための生活手当を受ける。
・コントロール改善のために、家庭での家禽飼育システムを集団飼育システムに変える一層の努力を要請する。
China confirms its first human bird-flu cases,China
Daily,11.17
http://www.chinadaily.com.cn/english/doc/2005-11/17/content_495384.htm
大規模家禽ビジネスの協力を得るための経済的インテンシブの付与に重点を置いているようだ。これが有効な拡散防止策となるのかどうか、甚だ心もとない。しかし、これが中国政府の限界なのであろう。