日本人専門家 中国のH5N1鳥インフルエンザ死者は300人 New Scientist誌が報道

農業情報研究所(WAPIC)

05.11.25

 New Scientist誌が伝えるところによると、日本の国立感染症研究所の田代眞人ウィルス部長が、中国のH5N1鳥インフルエンザによる死者は、人間から人間への伝達で感染した7人を含め、300人に達することを明らかにした。11月19日、ドイツ・マールブルクで開かれたウィルス学者会合で、人間で“several dozen”の発生があり、300人の死が確認され、感染の疑いで隔離された人は3000人にのぼると語った。この情報は中国の”同僚”から得たもので、この同僚は、もし問題の広がりを明らかにすれば逮捕すると脅かされてきたという。

 Expert says bird flu has killed 300 people in China,The NewScientist.com,11.24
 http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn8371

 この記事は、人間の感染者は回復した湖南省の少年1人と安徽省の既に死亡した女性2人[うち1人は、23日に確認された最新のケース]の3人とする中国の公式発表と大きく異なると書く。田代氏の「我々は組織的に欺かれてきた」という会合でのコメントは、ドイツのFrankfurter Allgemeine Zeitung紙で伝えられた。同紙によると、田代氏は、湖南省の最近のケースについて中国調査員と一緒にWHOのための調査をしていたとき、彼の信頼する消息筋からこの数を得たと語った。

 彼は、5人の中国医療関係者がこれらのケースを報告しようとしたために逮捕されたとも語った。ただし、WHOスポークスマンのディック・トンプソン氏は、New Scientistに対し、「これらの噂は調査されてきたが、根拠はないと中国保健部から知らされてきた」と語った。田代氏のコメントも得られていないという。

 この記事は、中国には人間のケースに関する他の未確認の報告もある、中国の独立ウェブ・サイトであるBoxun Newsが今週、11月の遼寧省における家禽での発生のコントロールを助けにきた77人がこのウィルスで死に、うち14人の氏名を掲げたと伝える。Boxunは、5月の青海湖での野鳥での発生の広がりについて報告、120人が近傍の町の病院に隔離されたことも報じたメディアである。

 [この記事は農業情報研究所の意見を反映するものではない]

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