英国の白鳥 H5N1と確認 環境食料省 全国規模の家禽屋内閉じ込めは過剰反応

農業情報研究所(WAPIC)

06.4.7

  昨日、英国・スコットランドの白鳥に高病原性鳥インフルエンザが確認されたが、H5N1かどうかは未確認と伝えたが(ドイツ家禽農場でH5N1鳥インフルエンザ 野鳥重視の伝播防止策に一層の疑念,06.4.6)、環境食料農村省(DEFRA)が6日、H5N1と確認したことを発表した。

 これを受け、既に行った保護・監視ゾーン設置以上の追加措置が必要かどうか緊急に検討するが、暫定リスク評価に基づき、ブリテン島全体での家禽の屋内閉じ込めは行き過ぎと決めたという。

 DEFRA:H5n1 avian flu confirmed in dead wild bird in Scotland(4.6)

 スコットランド政府は、この白鳥が発見されたファイフ周辺の野鳥リスク地域のすべての家禽を屋内に移すべき だ、それが不可能ならば野鳥から隔離すべきだとしている。

 An Avian Influenza virus (of subtype H5N1) has been confirmed in a dead swan found on the Fife coast

 しかし、ガーディアン紙によると、さらに14羽の白鳥が検査を受けていることから、専門家は野鳥の感染は英国中に広がっているのは確かと見ているという。オランダ・エラスムス大学の鳥インフルエンザ専門家であるAlbert Osterhaus教授は、 野鳥の間でのウィルスの広がりはゆっくりしたものだが、ドイツでは家禽にまで到達したと警告する。

 彼によると、ファイフで発見されたウィルスは、渡り鳥が英国沿岸に運んだものであることはほぼ確かで、国中の野鳥の間にゆっくりと拡散している可能性が高い。彼は、カモが北海を越えてウィルスを運び、飛来したときに水路にウィルスを排出したと信じ、今やファイフ地域、さらにはこの地域を超えて、他の野鳥の間に広がっているだろうと言う。また、ウィルスは家猫を通しても広がる可能性があり、それを通して家禽にも伝播する可能性があると警告している。

 How virus could spread from foothold in Fife across the UK,The Guardian,4.7
 http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,,1748833,00.html
 Avian flu: wild birds, pets and poultry now at risk,The Guardian,4.7
  http://www.guardian.co.uk/frontpage/story/0,,1748946,00.html

 彼を含むエラスムス大学の研究者は、Nature誌最新号で、猫は感染した鳥を食べることにより、あるいは他の猫との接触を通じてウィルスに感染する恐れがある、当局は、猫や犬、その他の鳥インフルエンザを伝達することのできる肉食動物の十分な監視をしていないと警告している。また、家禽やその他の鳥がH5N1ウィルスに感染した地域では、猫を屋外に出さないように要請している。

  Albert Osterhaus et al,Feline friend or potential foe?,Nature 440, 741-742 (6 April 2006) | doi:10.1038/440741a
  http://www.nature.com/nature/journal/v440/n7085/full/440741a.html