インドネシアが山火事シーズンに バイオ燃料産業が東南アジア熱帯雨林を使い棄て

農業情報研究所(WAPIC)

07.7.9

 インドネシアの山火事シーズンが始まった。焼畑農業のための農民の火入れや、バイオ燃料や健康に良く・環境に優しい食品(油等)や商品(洗剤等)のブームで急拡大を続けるオイルパーム・プランテーションの火つけが原因で、伐採により湿気を失った泥炭地もろとも、広大な熱帯雨林が燃え尽きる。

 7月5日に、スマトラの火災は、前日の142ヵ所から254ヵ所に広がっていることが確認された。マレーシア本土でも43ヵ所、マレーシア、ブルネイ、インドネシアにまたがるボルネオでも18ヵ所が燃えているのが発見された。

 Riau Islands threatened by haze ,The Jakarta Post,7.5

 煙はマレーシア、タイにも広がり、人々の呼吸器問題や視界の低下による交通困難などを引き起こしている。マレーシア・ケダーの6万8000の農民は、大麦収穫の3週間前に煙が空を多い日が当たらないために実が稔らないと、煙を拭い去る雨乞いをしている。

 Farmers pray for rain as haze threatens crops ,New Straight Times,7.4
  Haze expands health threats
,Bangkok Post,7.7

  例年通り、インドネシアは、早速、違法伐採と火災の責任は、マレーシア企業を含むインドネシアで操業する外国企業にある、これにかかわるインドネシア企業は一つもないと宣言する。マレーシアは、証拠を示せ、企業の具体名が分ければ処分すると応えるだけだ。

 Indonesia blames foreign firms for open burning,New Straight Times,7.7

 どちらも、違法伐採取り締まりと防火に全力を尽くすと言うが、このままでは、近い将来の熱帯雨林の完全消滅を待つばかりだ。それは気候変動を加速し地域住民の生活の場を奪う。熱帯雨林と住民の生計の手段は、バイオ燃料企業の”過渡的”収益源として使い棄てられる。

 バイオ燃料産業は、パームオイルを、セルロース系バイオ燃料の商業化が実現するまでの過渡的バイオ燃料原料としか見ていない。彼らは、土壌浸食と火災で東南アジアのバイオディーゼル・ブームが短命に終わるのは確実と見る。バイオディーゼル・プランテーションは、大量の炭素を溜め込んでいた2000万fの泥炭地に急速に広がり、土壌はまったく残らないだろう。インドネシア山岳部の土壌浸食速度は米国の30倍も速いという研究がある。

 Agrofuels in Asia: Fuelling poverty, conflict, deforestation,Grain,07.6

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