世界のトップ靴メーカー アマゾン産牛皮を排除 ブラジル産牛皮の大量輸入国・日本は?

農業情報研究所(WAPIC)

09.8.5

 先日、牛飼育による侵略からアマゾン森林を護るために、ナイキ社が”Amazon Biome”(アマゾン雨林とそれに関連した生態系)の内部で育てられた牛から生産されるレザーは使わないと決め、ブラジルの納入業者にAmazon Biomeの外で育てられた牛からの製品であることを証明するためのトレーサビリティ・システムを確立するように要請したと伝えた。

 ナイキ ブラジル・レザーのトレーサビリティを強化 牛飼育によるアマゾン森林破壊防止のため,09.7.24

 グリーンピースの要請に応えるこのような動きは、ナイキだけでなく、クラークス、アディダス、ティンバーランドなどの世界のトップ靴メーカーにも広がっている。そして、キャンペーンの焦点は、これら靴メーカーから、安値競争のために大量のブラジル牛肉を調達する英国スーパーに移ってきたという。

 Shoe brands get tough on leather suppliers to save Amazon rainforest,The Guardian,8.3
 http://www.guardian.co.uk/environment/2009/aug/03/footwear-brands-amazon-rainforest-leather
  Supermarkets: where's the beef from?,The Guardian,8.3
  http://www.guardian.co.uk/business/2009/aug/03/supermarkets-beef-greenpeace-brazil

  そこで気になるのは、わが国(日本)ではどうなっているのかということだ。

 貿易統計(財務省)を見ると、ブラジルからの牛肉輸入はほとんどない。しかし、牛皮製品は大量に輸入している。

 たとえば、2008年の「牛(水牛を含む)又は馬類の動物のなめした皮」(大部分は牛の皮だろう)の総輸入量:1万245トンの4分の1に相当する2570トンがブラジルから輸入されている。わが国牛皮利用産業がブラジルに大きく依存していることは明らかだ。

 輸入者や産業は、これらがAmazon Biome域外原産でないことを証明しないと、いずれアマゾン森林破壊の加担者として非難に曝されることになるだろう。わが国企業だけがこのコストを支払わないで済むわけがない。