農業情報研究所環境森林>ニュース:2021年11月19日 

 

 EU 牛肉、大豆、コーヒー等、森林を破壊して生産される商品の輸入禁止へ 

 

  EUが森林を破壊して生産される商品の輸入を禁止する規則(法律)を制定するそうである。2030年までの世界の森林破壊を終わらせることを約束したCOP26サミットにおける世界のリーダーの約束果たすためである。

 

 ミンダウガス・シンケビチュウス環境・海洋担当欧州委員が17日に公表された「反森林破壊法」草案についてファイナンシャル・タイムズ紙に語ったところによると、この法律のターゲットとされるのは、牛肉、大豆、パームオイル、コーヒー、カカオ、材木(timber)の六つの農林産品である。これら6製品はEUの商品輸入の19%ほどを占め、この禁止の狙いはヨーロッパの消費者需要の世界の森林と先住民コミュニティーへの影響を減らすことにある。

 

 この法が閣僚理事会(EU諸国政府の担当閣僚によるEUの決定機関)と欧州議会を承認を経て成立すると、企業はEU単一市場で販売する製品は20201231日以降のいかなる森林破壊活動または森林劣化活動と結びついていないことを示さねばならない。衛星イメージを通じて国家当局に正確な情報を提供できなければ、最大年間総売上高の4%の罰金を課すことができる。

 

 環境活動家はこれを概ね歓迎しているが、一部は対象品目からラバーが抜け落ちていると批判している。自動車タイヤなどの製品に使用されるラバーの需要は急激に伸びており、最近の研究(Reconciling Rubber Expansion with Biodiversity Conservation Current Biology Vol. 30 Issue 19)によると、東南アジアとサブサハラ・アフリカの熱帯雨林500万㌶が2003年から2017年の間にラバープランテーションのために伐採されたという。

 

  EU seeks import ban from  logging regions,Financial Times,21.11.18,p.4 

  Brussels seeks to curb deforestation with food import ban.FT.com,21.11.17 

 

 ところで、日本政府は2030年森林破壊ゼロのためのどんな政策を考えているのだろうか。EU(全体)に比べればこれらの輸入は少ないとしても、たとえばブラジル産が多いコーヒー豆の輸入量はEU、米国に次ぐ世界第3位、天然ゴム輸入量は中国、マレーシア、米国に次ぐ世界第4位であり、無視はできないが、いまのところ、政策案の影も形も見えない。COP26サミットの約束(COP26: World leaders promise to end deforestation by 2030BBC,21.11.2.)など聞いたことない?