農業情報研究所


オーストラリア:工業廃棄物、野放しの肥料利用

農業情報研究所(WAPIC)

02.5.7

 オーストラリアの主要メディアの一つである「シドニー・モーニング・ヘラルド」が、独自の調査に基づき、様々な有毒物質や重金属を含み得る工業廃棄物が全く無規制に肥料や土壌改良資材として販売・使用されている実態を暴いている。

 南オーストラリアのBHP製鉄所(Port Kembla)からの未処理のスラグが南部の酪農場や作物に散布されている。西オーストラリアのアルミニウム精錬所から出る放射性物質が大規模な養牛農業農場に注ぎ込まれている。ビクトリア、南オーストラリア、クイーンズランドでは亜鉛精錬工場、発電所、セメント・キルン、自動車部品工場からの廃棄物が農場と家庭ガーデンの肥料に変えられている。

 オーストラリアでは肥料の品質に関する国レベルでの規制が存在しないから、これらの行為は完全に合法である。政府はリサイクルの名でこの慣行を奨励し、農民は安価な肥料が入手できることからこれを歓迎、企業は巨額の廃棄費用を節約している。

 大量の重金属が人間の健康に有害であることや、それらが家畜・作物に取り込まれることも研究が明らかにしているが、環境保護当局や農業省は企業が提出するデータに頼り、自ら検査することは滅多になく、リサイクル物質のレベルは有害でないと信じている。

 ある州の農業省の土壌研究者は、ほとんどの消費者に知られていないこの問題の公開討論を開くべきときだという。環境保護団体は、工業廃棄物は危険であり、農業と環境から隔離すべきだと言っている。

 Industrial waste sold as fertiliser,smh.com.au - The Sydney Morning Herald,5.6
 How industrial waste gets into the food chain,smh.com.au - The Sydney Morning Herald,5.6
 From furnace to field,but it's cheap,smh.com.au - The Sydney Morning Herald,5.6
 Foreign fertilizers do not need warning labels,smh.com.au - The Sydney Morning Herald,5.6

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