農業情報研究所


ドイツ:有機畜産飼料に禁止除草剤

農業情報研究所(WAPIC)

02.6.3

 食品安全にかかわるスキャンダル続きのドイツで、一政治家が最大のスキャンダルという事件がまたまた発覚した。発癌性があると言われる除草剤・ニトロフェンが有機農業用の家畜飼料中に発見されたのである。

 この除草剤は、ドイツでは10年以上前から使用を禁止されているが、環境中に残留しているために低レベルの許容量が設けられている。しかし、有機農場の飼料として使われる小麦に許容量の600倍にのぼるこの除草剤が検出された。検査されたサンプルはドイツの100以上の農場に配られたバッチからのもので、他の欧州諸国にも販売されている可能性があるという。主として鶏の飼育に使われており、少なくとも三つの州の農場が卵・ソーセージ・鶏肉を回収した。ドイツ最大のエコ産品小売業者であるBiolandのヘッドは、有機農業への信頼が危機に瀕していると言う。

 ニトロフェンの痕跡は昨年12月に発見されていたが、発見した企業は内密の通報で漏れるまで当局に知らせなかった。ローワー・サクソニィ州農相は、「ドイツエコ・ファーミング史上最大のスキャンダル」と言い、関係者の告訴を考えている。これは、BSE危機乗り越えのために有機農業の飛躍的拡大を目指しているシュレーダー政権にとっても痛手になりそうである(9月には総選挙がある)。

 欧州委員会は詳細な情報を求める書簡をドイツ政府に送った。委員会は関係食品の量、配布先、食品安全のための州・連邦政府の措置に関する詳細な情報を求めている。チェコ共和国は、ドイツの家禽輸入を禁止した。

 German Poultry Import Banned in Czech Republic,Central Europe Online,5.31
 EU Commission wants details on German organic food scandal,Deutsche Press-Agentur,5.30
 Organic farms in scandal of illegal herbicide,Guardian Unlimited,5.28
 Un herbicide cancérigène fait scandale dans l'élevage bio allemande (AFP) ,5.27

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