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EU農相理事会、飼料添加物規制・成長促進ホルモン禁止で政治的合意

農業情報研究所(WAPIC)

02.12.17

 16日、EU農相理事会が動物飼料への添加物使用に関する提案に関する政治的合意に達した(Council of the European Union,2476th Council meeting - AGRICULTURE AND FISHERIES -Brussels, 16-19 December 2002 - ITEMS DISCUSSED ON 16 DECEMBER 2002 - PROVISIONAL VERSION,Press:399 Nr: 15636/02 )。4月22日になされた欧州委員会の提案は、動物飼料に使用される添加物に関する現行ルールを強化し、整合性をもたらすことを目的としており、既に11月には欧州議会が意見を採択している(欧州議会、飼料添加物としての成長促進抗生物質禁止案を採択,02.11.25)。

 新たなルールは次の原則に基づく。

 ・人間・動物・環境に安全な添加物のみが許可され、

 ・移行期間終了後には、新規則で許可された添加物だけが販売、使用、加工を許され、

 ・許可は欧州食品安全庁(EFSA)に集中された手続に従って与えられ、

 ・EUの登録簿に掲載された添加物(ポジティブ・リスト)のみが販売、使用、加工を許される。

 提案は動物飼料からの抗生物質排除も確認しており、成長促進剤としての抗生物質使用の段階的廃止を規定している。これについては、委員会は2006年1月1日からの禁止を提案していたが、先の欧州議会の意見は禁止を1年速める案を採択した。農相理事会は2006年からとすることで合意したために、欧州議会との食い違いが生じたことになる。この規則は理事会と欧州議会の「共同決定」手続に従って採択されねばならず、農相理事会による正式採択(「共通の立場」の採択)を待って、来年前半の欧州議会第二読会にかけられる。

 なお、この日の農相理事会は、すべてのホルモンを成長促進剤として使うことを禁止する現行規則の修正案にも合意した。これは、EUの獣医学科学委員会が完全な発癌性を認めたホルモン・エストラジオール‐17-β(oestradiol-17 ‐β)の成長促進剤としての使用を禁止するなどの規定を含む。欧州議会の第二読会で承認されれば直ちに発効する。