EU:食品中の全アレルギー物質の表示を義務化、ワイン中の亜硫酸塩も

農業情報研究所(WAPIC)

03.9.29

 欧州理事会と欧州議会が食料品成分表示指令(Directive 2001/13/EC)改正案を採択した。この修正の目的は、食料品成分に関する完全な情報を消費者に知らせることを義務付けることにある。例外は極めて少数の成分に限られ、この例外は、指令にリストアップされたアレルギーまたは過敏症を引き起こす恐れのある一定に成分には適用されない。アレルギーをもつ消費者は、食品中に存在し得るすべてのアレルギー成分を確認することができるようになる。現在、最終製品において25%以下を構成する成分の表示義務はなかったが、このような「25%」ルールも廃止される。また、アルコール飲料は成分表示の例外とされてきたが、例えばワイン中の亜硫酸塩などの成分を含む場合には表示が義務付けられる。

 新ルールの下では、アレルギー源を隠すことができないように、すべての副成分も表示しなければならない。例えば、卵、乳、マスタードなどのアレルゲンを含み得るソースの場合、以前はこれら成分が25%以下ならば表示の義務はなかったが、新ルールの下では、このような副成分も表示せねばならない。さらに、現在は「植物油」のような大分類表示が可能であったが、今後は「ピーナツ油」と特定されねばならないように、すべてのアレルギー成分が表示されなばならない。現在は「天然フレーバー」と表示されているような場合にも、今後はそのソース(例えばナッツ)も表示せねばならない。

 また、例えば亜硫酸塩は、ワイン、ビール、サイダーなど、多くの飲食料品に保存料として添加されており、多くの人々がこれが引き起こす喘息発作のような深刻な結果につながる症候に悩まされている。こうしたことから、従来は表示の例外とされてきたアルコール飲料についても、アレルゲンとしてリストアップされたすべての成分が表示されねばならないとされた。パーティーでたった一人ワインを口にできずに侘しい想いをしてきた人々には大変な朗報だ。

 新指令は今年中にEU官報に掲載され、それから1年をかけて各国が国内法化する。その後1年の移行期間の間に製造者が製品表示を修正、これが順調に進めば、2005年には消費者が新たな表示に接することになる。

 なお、アレルギー誘発の可能性がある成分としては、次のものがリストアップされている。

 ・グルテンを含む穀物とその派生品、

 ・甲殻類動物とその派生品、

 ・卵とその派生品、

 ・魚とその派生品、

 ・ピーナツとその派生品、

 ・大豆とその派生品、

 ・乳と乳製品(乳糖を含む)、

 ・ナッツとその派生品、

 ・セロリとその派生品、

 ・マスタードとその派生品、

 ・コマ種子とその派生品、

 ・10r/sまたは10r/l以上の濃度の二酸化硫黄と亜硫酸塩。

 なお、わが国では、2001年3月に食品衛生関係法が改正され、2002年4月以降に製造・輸入・加工された容器包装加工食品と、その食品に含まれる食品添加物を対象に、一定のアレルギー成分の表示が義務化された。表示義務があるのは「特定原材料」とされた卵、乳、小麦、そば、ピーナッツ である。その他19品目(あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)が表示が望ましい「特定原材料に準じる物」とされている。

農業情報研究所(WAPIC)

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