米国:食品原産国義務表示ルール案発表、一部カナダ経由牛も米国産

農業情報研究所(WAPIC)

0310.28

 米国農務省(USDA)は27日、2002年農業法で2004年9月30日から義務化すると定められた食品原産国表示に関するルールを提案した。今後60日間、コメントを受け付ける。

 提案によれば、牛・ラム・肉(カット、挽肉)、養殖魚介、野生魚介、生鮮・冷凍野菜・果実、ピーナツは小売段階で原産国を表示しなければならない。加えて、魚介についての原産国表示は野生・養殖魚介が区別できるようにしなければならない。これらがベーコン、オレンジジュース、ミックスナッツ、果実・野菜のパーティー・トレーなどの加工品中の成分である場合には、表示は義務としない。レストラン等の食品サービス施設は義務表示を免除される。

 カナダのBSE発生以来、わが国は牛肉が米国産であることの保証を求めており、牛肉の原産国表示ルールがどうなるかはは他所事ではないが、これについては次のルールが提案されている。

 米国原産と表示される牛肉は、専らを米国内で生まれ、飼育され、屠殺された牛からの肉でなければならない。この牛には、アラスカ・ハワイで生まれ、飼育され、60日間を超えない間にカナダを通過して米国に輸送され、米国内で屠殺された牛も含まれる。

 ラムと豚肉は、専ら米国内で生まれ、育てられ、屠殺された動物由来のものが、養殖魚介については、専ら米国内で孵化され、飼育され、漁獲され、加工された魚介が米国原産と表示される。米国原産と表示される野生魚介は、米国水域内で、または米国船籍船により漁獲され、米国内、または米国船籍船で加工された野生魚介である。野菜・果実は米国内で生産されたもの、ピーナツは米国内で栽培されたものが米国原産とされる。

 提案されたルールは、外国と米国の両方で生産されたもの表示要件やブレンド製品の表示要件も示している。また、小売業者と小売業者への供給業者の記録保存義務についても概略を示す。 

 USDAは、このルール実施により、生産者・加工業者・卸売り・小売業者にかかる初年度のコストは39億ドルと推定している。違反者には1万ドルまでの罰金も科される。消費者や若干の農業グループを除き、卸売り、食肉産業グループは、この義務表示のコストは余りに高すぎると反対してきた。下院は食肉の義務表示を阻止したが、上院が強力に支持した。ブッシュ政府は、ものもとこの法に反対している。USDAも、これで国産品消費が増えるという証拠はなく、表示の利益はほとんどないと言っている。実施までにはなお曲折があるかもしれない。

 詳しくは、USDAの次の頁を参照されたい。

 October 27, 2003 -- USDA Issues Proposed Rule For Mandatory Country of Origin Labeling
 
Proposed Rule - Mandatory Country of Origin Labeling of Beef, Lamb, Pork, Fish, Perishable Agricultural Commodities, and Peanuts - PDF File
 
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