欧州委、食品へのビタミン、ミネラル添加の共通ルールを提案

農業情報研究所

03.11.11

 11月10日、欧州委員会は、ビタミン、ミネラル、ハーブ抽出物などの食品への添加に関する共通のルールを定める規則を提案した。提案された規則はEU各国の様々なルールを調和させ、栄養「強化」食品のEU全体での自由移動を可能にしようとするものである。この規則は、同時に承認されるビタミン、ミネラル、その他の物質のリストも創る。食品への様々な栄養素の添加の最大限・最小限のレベルが科学的勧告に従って定められ、消費者には各製品に添加された栄養素を表示で知らせることになる。この提案は閣僚理事会と欧州議会による「共同決定」手続に付される。

 EUレベルでのルールを提案したのは、EU構成国には食品への栄養素添加に関する非常に異なるルールがあり、これは商品の自由移動の妨げになると同時に、食品安全に関する異なる基準が存在することを意味するからだという。従って、新たな規則は、高レベルの消費者健康保護を保証する堅固な科学的基盤の上に調和的なルールを創りだすことで、この問題の軽減を図ることになる。

 提案された規則は、食品に添加され得るビタミンとミネラルのリストを創る。ハーブ抽出物、蛋白質、アミノ酸のようなく食品によく添加される物質については、これらの物質の人間の健康にとってのリスクを評価するための欧州食品安全庁(EFSA、食品安全問題について欧州委員会にアドバイスする独立科学機関)がかかわるメカニズムを導入する。

 また、食品に添加される様々な栄養素の最大限・最小限のレベルを設定するための基準を定める。これらのレベルは、EFSAの勧告に基づき、欧州委員会と食物連鎖動物保健常設委員会の各国代表専門家によって定められる。

 この提案が採択されると、消費者は消費して安全な量のビタミンやミネラルを含む食品の選択が可能になる。消費者は、食事で摂取するの各栄養素の量について一層の情報を提供されることになる。栄養素を添加されたすべての食品は、その栄養価について消費者に知らせる表示を義務付けられる。ビタミンやミネラルは、適量を取るかぎり健康に不可欠だが、取り過ぎれば有害なことがある。例えば、ビタミンAの取り過ぎは妊婦や肝臓病の人には問題だ。新規則は、このような取り過ぎによる健康被害の防止に一役買うことになる。

 ビタミンやミネラルは、消費者の健康リスクがない限り、どんな食品にも添加できるが、自然状態で保存される果実・野菜・肉などへの添加は許されない。また、アルコールへの添加は、アルコール中毒との闘いとの同調を乱すから許されない。

 SourceEuropea Commission
 Commission proposes common rules for adding vitamins and minerals to foods(11.10)
 Proposal for EU rules about adding vitamins and minerals to foods - frequently asked questions(11.10)

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